書評『クラウドストーミング 組織外の力をフルに活用したアイディアのつくり方 』
(ショーン・エイブラハムソンほか/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
イントロダクション
第一章 まずはコンテクストから
第二章 知的財産、機密保持、ブランド
第三章 適切な問いを投げかける
第四章 意欲を高める公正なインセンティブ
第五章 パートナーシップを構築する
第六章 最良の人材を採用する
第七章 優れた結果を得るためのコミュニティ管理
第八章 参加者の貢献度を測る
第九章 膨大な数のアイディアを手なずける
第十章 最適なオンライン空間を構築する
第十一章 さらに先へ
著者:ショーン・エイブラハムソン Shaun Abrahamson
ムトポ社を創業し、ニューヨークを拠点に、群クラウド衆の知恵を活用してクライアント企業を成功に導くコンサルティング事業を推進。マサチューセッツ工科大学(CADラボ)にて修士号、ベルリン・スクール・オブ・クリエイティブ・リーダーシップにてMBAを取得。

著者:ピーター・ライダー Peter Ryder
ムトポ社を創業し、ニューヨークを拠点に、群クラウド衆の知恵を活用してクライアント企業を成功に導くコンサルティング事業を推進。マサチューセッツ工科大学(CADラボ)にて修士号、ベルリン・スクール・オブ・クリエイティブ・リーダーシップにてMBAを取得。

著者:バスティアン・ウンターベルグ Bastian Unterberg
ヨヴォトの共同創業者、CEOとして同社を指揮する。2007年以来、ヨヴォトは世界各国の企業や非営利組織と10万人以上の人材とを結びつけ、オンライン上の共創モデルを進化させている。ベルリン芸術大学にて修士号取得(デジタル・コミュニケーション論)。

書評レビュー

クラウドストーミングとは何か?

本書はスターバックスをはじめ有名なグローバル企業がこぞって採用し成功をおさめている、外部人材を活用した新しいアイディア創出の方法「クラウドストーミング」を解説した一冊です。

新規ビジネスを企画する際などに、チームメンバーとブレインストーミングを行った経験をお持ちの方は多数いらっしゃるのではないかと思います。

ブレインストーミングは、1940年代に生まれてから、アイディアを生み出す際に有用な手法として、数十年に渡り広く実践されている手法です。

基本的に、ブレインストーミングは社内のチームメンバーにより行われ、社外としても担当コンサルタントが入る程度の、いわば「限定された」空間やリソースをベースに行われることがほとんどでした。

しかし、昨今のインターネットの進歩が、この常識をくつがえし始めています。

本書で解説されている「クラウド」は、クラウドソーシングと同様に、群衆(crowd)に由来するもので、オンラインという開かれた空間で、社内外問わず、多くの人間がアイディアの創出に携わるものです。

『業界を問わず、様々な組織が不特定多数の人々のアイディアを活用し始めている。(中略)新製品のデザイン、サービスの改善、新たな販売キャンペーン、環境に優しい居住空間の創造~そのほかさまざまな分野で数多くのことを成し遂げている。いわば、きわめて大きなスケールでのブレインストーミングだ。』

「クラウドストーミング」の手法は、スターバックスやGEといったグローバル企業から中小企業まで幅広く採用され成果を収めており、グローバル・スタンダードと言っても過言ではないほど、ビジネスシーンにおいて浸透しています。

クラウドストーミングによる5つの成果

著者は、「クラウドストーミングによる5つの成果」を次の通りと解説しています。

・アイディアの取得
・アイディアの評価
・才能の発掘
・会話のきっかけ
・良好な関係の構築

この「クラウドストーミング」の成果にいち早く着目し、最先端を担う外部の人材を自社のサービス開発に組み込んだのが、アップルのスマートフォン戦略なのです。

iPhoneのアプリを開発しているのは、社外のアプリ開発者です。アップルは、インターネットの発展により、世界中の優秀な人材が自社のサービスにコミットできることに気が付いていました。

そこでアップルは、彼らのために開発支援ツールの提供やコミュニティの整備といった、社外の開発者の能力を最大限に引き出すことを重視し、アプリ開発者とのコミュニケーションに注力しました。

その結果、アプリ経済に21万人の雇用(アップル全体で6万人)をもたらすと同時に、社外の優秀な人材を取り込んだシステムを作り上げることに成功したとして、次のように書かれています。

『アップルはもはや一企業ではなく、組織の枠を超えて優秀な頭脳を集めるエコシステムになったのである。それは、アップルがアイフォーンに新たな顧客体験を加える原動力を生み、ひいては競合製品ではなくアップル製品を選択する明確な理由を与えている。』

まとめと感想

このように、インターネットの発展により、「雇用」という形にとらわれずとも、社外の優秀な人材の力を活用することで、さまざまなビジネスアイディアを創出することが現在では可能となっています。

ただし、社外の優秀な人材にコミットしてもらうためには、やりがいや目的といった、報酬以外のインセンティブを与えることができるかがキモになります。

本書では、具体的な「クラウドストーミング」の成功事例から「クラウドソーシング」を用いたプロジェクトの計画・組織・実行するためのアプローチまで解説されているので、とても参考になる一冊だと思います。

レゴの倒産の危機を、新規製品開発のアイディアを提供することで救ったのもこの「クラウドソーシング」ということですので、企画・マーケティング担当の方にもお薦めしたい一冊です。

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