書評『元祖プロ・コーチが教える 育てる技術』
(ジョン・ウッデン/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
Part 1 人を育てる
・指導する者に与えられた素晴らしい特権
・指導者とは、人々に意欲を起こさせるために銃を必要としない人のことである
・指導下にある人をひとりの人間として関心を持ち、愛しなさい…ほか

Part 2 チームを育てる
・最高の選手を集めても、最高のチームになるとはかぎらない
・チームを成功に導く六つの条件
・目標はひとりのスターを育てることではなく、チームに最高の結果をもたらすこと…ほか
Part 3 成功のピラミッド
・最高の自分になるために全力を尽くすのが成功者
・持っているものは人によって異なるが、それを最大限に発揮する機会は誰にでも平等にある
・成功のピラミッド…ほか

著者:ジョン・ウッデン John Wooden
米国大学バスケット史上最高のコーチといわれる。 1910年生まれ。大学時代、名選手として活躍、卒業後、高校のコーチや第二次世界大戦への従軍を経て、48年よりUCLAのコーチに。カリーム・アブドゥル・ジャバー、ビル・ウォルトンほかのスター選手を育て上げる。60年代から70年代にかけてUCLAを10回にわたり全米チャンピオンに導くという大記録を打ち立てた。その高潔な人格から、広くアメリカ人の尊敬を集め、彼の言葉はバスケットに限らず人生全般に役立つ名言として引用されることが多い。2010年没。

著者:スティーブ・ジェイミソン Steve Jamison
アメリカのスポーツ・コラムニスト。テレビ番組の司会者も務める。著書多数。

書評レビュー

各界の著名人から絶賛される「人材育成・マネジメント哲学」

本書は米国大学バスケットボール史上、最も優れたコーチと呼ばれ、スポーツ界のみならずビジネス界からも称賛を集める「ジョン・ウッデン」氏の実体験に基づいた、人材育成・マネジメント哲学(スキル)を紹介した一冊。

題名に「元祖プロ・コーチが教える」とあるため、一見するとコーチングスキルを紹介した一冊のようですが、本書は米国では名前を知らない人はいないというほど有名な「バスケットボールコーチ」が、人材育成・マネジメント哲学(スキル)を解説した内容となっています。

著者の「ジョン・ウッデン」氏は既に他界されていますが、UCLAのバスケットボールチームを率い、10回の優勝(うち7回は連続優勝)を成し遂げ、その教え子からNBAのスター選手も多数輩出するなど、その手腕が高く評価されている人物。

その成果はロサンゼルス・タイムズのスポーツ編集者が「今後百年間、ウッデン・コーチの記録の、たぶん全部が破られずに残るだろう。」と述べるほどです。

もっとも、著者が「米国バスケットボール史上、最も優れたコーチ」と呼ばれるゆえんは、バスケットボールにおける輝かしい功績だけではなく、著者がチームに浸透させた「人材育成・マネジメント哲学」です。

「成功の定義」から人材育成を考える

著者の哲学を紹介する前に、その根底に流れる「成功の定義」をご紹介しておかなければなりません。それは次のようなものです。

『成功とは、自分がなれるベストの状態になるために最善を尽くしたと自覚し、満足することによって得られる心の平和のことである。』

つまり、真の「成功」とは、他者との競争にかつことではなく、あくまでも自己ベストに到達するために努力することで得られるものであり、著者の人材育成・マネジメントは、この「成功」に向かって人々を導くことを目的としてたそうです。

チームの指導にあたり、「相手チームに勝つ」という言葉を使わなかったというエピソードに、著者の哲学が端的に表れています。

そして、著者は、個人を最大限に尊重することが最も重要であるという考え方のもと、チームに入ってきた一人一人の内面に隠れた能力をいかに伸ばすかに、その情熱を傾けました。

『実際に成し遂げたことで人を測ってはいけない。それぞれが自身の能力を駆使すれば成し遂げられたはずのことを基準にすべきだ。能力をいかんなく発揮して最前を尽くすために努力する。それ以上のことができる人がいるだろうか?』

他者との競争に負けたことについては一言も触れなかった著者ですが、自分に甘えベストを尽くさなかった生徒には厳しい言葉を投げかけ、個人の自尊心を鼓舞することで、真に強い集団を作り上げていったのです。

この考え方こそが、著者が「米国大学バスケットボール史上、最も優れたコーチ」と呼ばれた一番の理由とも言えます。

まとめと感想

本書では上述のような著者の「人材育成・マネジメント哲学」の他にも、「成功のためのマインドチェンジの方法」を解説した、かの有名な「成功のピラミッド」と呼ばれる15要素も解説されています。

こちらには、スティーブン・R・コヴィー氏の「7つの習慣」にも共通する考え方も含まれており、我々ビジネスパーソンにとっても非常に参考になる内容になっています。

それほど分厚い本ではなく、本書で紹介されている著者の言葉はどれも簡潔ですが、人材育成・マネジメントの本質をとらえたものばかりだと思います。マネジメントクラスの方に是非ご一読いただきたい一冊です。

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