書評『並外れたマネジャーになる 80対20の法則』
(リチャード・コッチ/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1部 質問―途方に暮れていないか(仕事や生活をシンプルにしたくないか
秘密兵器)
第2部 答え―八〇対二〇マネジャーになるための一〇の方法(探偵マネジャー
連結の達人マネジャー
メンタリング・マネジャー
レバレッジ・マネジャー
自由にやらせるマネジャー
意義を求めるマネジャー
時間に余裕をもつマネジャー
単純化するマネジャー
怠け者マネジャー
戦略的マネジャー
完全なる八〇対二〇マネジャー
八〇対二〇マネジャーと八〇対二〇企業)
著者:リチャード・コッチ
起業家、投資家、経営コンサルタント、作家。ボストン・コンサルティング・グループのマネジャーを経てベイン・アンド・カンパニーのパートナー、その後L.E.K.コンサルティングの共同創業者。投資先は、ファイロファックス、プリマス・ジン、ベルゴ&ベッドフェアなど。英国出身でジブラルタル在住。

書評レビュー

「80対20の法則」とは?

本書は、世界的ベストセラー『人生を変える 80対20の法則』の著者による、少ないインプットで最大限のパフォーマンスを達成するマネジメントクラスになるための方法をまとめた一冊。

著者の「リチャード・コッチ」氏は、経済学の法則である「80対20の法則」をビジネスや人生に応用した世界的ベストセラー『人生を変える 80対20の法則』として有名であり、現在も経営コンサルタントとして活躍している人物です。

この「80対20の法則」は「パレートの法則」とも呼ばれています。これは、世の中を「原因」と「結果」に分けた場合、ごく少数の原因(20%)が結果・成果の大半(80%)を生み出しているという、経済学ではとても有名な法則です。

100年以上前に提唱された法則であるにもかかわらず、世の中の本質をついた法則として、現在でもその有用性が認められている貴重な法則でもあります。

自社の製・商品やクライアントの20%が、企業利益の80%を生み出している、という有名なフレーズもありますよね。

かのスティーブ・ジョブズが、iiPodやiPhoneで傾きかけたアップルを成功へと導くことができたのも、ユーザーの80%が実際に使っている20%の特性を見出し、この20%をどこよりも優れて実行できるように戦略的にリソースを集中したためだ、というエピソードもあります。

「80対20の法則」はマネジャーを成功へと導く

この法則ですが、限られたリソースで成果をあげなければならない、企業のマネジャーにも当てはまるのですが、著者曰く、「大半のマネジャーは産出(アウトプット)よりも投入(インプット)を重視している」とのことです。

確かに、企業の現場を見てみると、何が最高の結果を生み出しているのかをシンプルに注視するのではなく、非効率的なタスク(プロセス)を生み出すことに注力しがちであると言えるかもしれません。

また、ビジネスシーンでは、「80対20の法則」ではなく、「50対50の法則」、つまり、あらゆる原因とあらゆる出来事はすべて均衡である(べきだ)という考えがいまだに根強いと著者は主張しています。

『ビジネスの世界で有害かつ馬鹿げているのに根強く残っている考え方がある。売り上げはすべて良いもので、収益はすべて貴重であり、収益源はすべて等しく重要である、というものだ。だが、それは違う。』

本書では、企業のマネジャーがこの法則を活かし、最低限のインプットで最大限のアウトプット(パフォーマン)を挙げるための「10の方法」が紹介されています。

この「10の方法」は、著者が考える「80対20」マネジャーを10の類型に分類したものなのですが、特に印象に残ったのは、究極の「80対20」マネジャーとして解説されている「戦略的マネジャー」でした。

究極の「80対20」マネジャーとは

「戦略的マネジャー」は、例えば、顧客が喜んでプレミアムを払うような独自の製品などを提供すると同時に、品質を落とすことなくコストを削減できる、そんな「業界」構造を作り変えることで素晴らしい価値を創造するマネジャーです。

ビジネスのやり方を変えることで、収益を最大化させることを目的とする、つまり「80対20の法則」をシンプルに実践できるマネジャーを指していますが、業界構造を変えるという非常に大変なタスクを遂行できる人物ということになります。

著者は、「80対20マネジャー」の類型には難易度で差があるため、自分にあった類型をピックアップする方法でもよいと述べていますが、この「戦略的マネジャー」が難易度的には一番高そうに見受けられました。

この「戦略的マネジャー」になるために「異色の人材を業界に引き入れる」「自分自身が組織のブランドとなり、組織のモデルとなる」などさまざまな手法が紹介されています。

まとめと感想

本書では他にも「レバレッジ・マネジャー」や「単純化するマネジャー」などのバラエティに富んだマネジャーの類型が紹介されていますが、すべての類型に共通する本質は、結果にこだわり、世の中の偏ったパターンを利用して結果をだす、という点です。

もっとも、ただ単に結果を出すことを目的とするのではなく、「効率的に」という点もすべての類型に共通していますので、非常に納得しやすい解説となっていました。

本書は、マネジメントクラスを対象とした一冊ではありますが、それ以外の役職の方々にとってもワークスタイルの視野を広げてくれる良書だと思います。

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