書評『「権力」を握る人の法則』
(ジェフリー・フェファー/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
はじめに――「権力」を握る準備を始めよ
第1章 いくら仕事ができても昇進できない
第2章 「権力」を手にするための七つの資質
第3章 どうやって出世街道に乗るか
第4章 出る杭になれ
第5章 無から有を生み出す――リソースを確保せよ
第6章 役に立つ強力な人脈を作れ
第7章 「権力」を印象づけるふるまいと話し方
第8章 周りからの評判をよくしておく――イメージは現実になる
第9章 不遇の時期を乗り越える
第10章 「権力」の代償
第11章 権力者が転落する原因
第12章 権力闘争は組織とあなたにとって悪いことか
第13章 「権力」を握るのは簡単だ
著者:ジェフリー・フェファー(Jeffrey Pfeffer)
スタンフォード大学ビジネススクール教授(トーマス・D・ディー2世記念講座)。専門は組織行動学。1979年よりスタンフォード大学で教鞭をとる。これまで13冊の著作を持ち、ハーバード大学ビジネススクール、ロンドン・ビジネススクール、IESEなどで客員教授や講師を務めている。 < 主な著書>『影響力のマネジメント』、『事実に基づいた経営』、『人材を活かす企業』、『なぜ、わかっていても実行できないのか』などがある。

書評レビュー

ビジネススクール教授が説く「権力への道」

組織人として成功を収めるためにはどうすればよいのでしょうか?本書は、いわゆる「立身出世」を遂げて「権力」を握るために、必要となる渡世術や考え方とうテーマを正面から解説した一冊です。

「Power」の翻訳版として出版され(2011年)、「立身出世」のためのバイブルとしてベストセラーにもなった『「権力」を握る人の法則』の文庫版です。

「立身出世」と聞くと、日本ではあまりポジティブな響きとして捉えられないかもしれませんが、組織で働く以上、やはりビジネスパーソンにとって無視できないテーマでもあります。

著者は、30年以上もスタンフォード大学ビジネススクール(組織行動学)で教鞭をとり、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で「経営分野で最も影響力のある思想家20人」に選ばれるなど、組織論、人事管理論の権威としても高名な人物。

著者は、担当するMBAクラスで、具体的なケーススタディを用いて、組織内で影響力を獲得するプロセス、つまり、『「権力」を握る』ための授業を受け持っています(「権力への道(The Paths to Power)」というそのものズバリな講座名だそうです)。

本書は、このMBA講座のエッセンスをまとめたものであり、客観的なデータや実際に「権力」を握ることに成功した人へのインタビューを用いながら、「権力」の必要性、「権力」を握るために必要な渡世術やセルフモチベートの方法などが明らかにされています。

なぜ権力志向になるべきなのか?

そもそも、なぜ著者は、「立身出世」をするべき、つまり「権力志向」になるべきだと主張しているのでしょうか。この問いに対して、著者は、大きく分けて3つの理由があると解説しています。

まず第一に、「人生を健康に過ごし、人生を楽しむ可能性が高くなるため」、第二に、「端的に言って金持ちになり、裕福な生活を送るため」。そして、第三の理由として興味深いことを述べています。

『第三に、権力はリーダーシップの一部であり、何かを成し遂げるためには欠かせない。医療制度改革であれ、職場のちょっとした改善であれ、それなりの権力が必要になる。』

「リーダーシップ」を身につける、つまり、マネジメントを実践するためにはやはり「権力」は必要であり、むしろ、率先して「権力」を握るために努力すべきだ、ということでしょうか。

確かに、職位が上位になればなるほど、重要事項の決裁権限を持つようになるため、社内外の調整が必要となります。

その中で、マネジメントクラスとしてぶれない適切な判断を下すためには、やはり「権力」が必要になります。よく言われる「若い頃は我慢して、早く偉くなって改革しろ」というのも同義だと思います。

アップルのスティーブ・ジョブズや、アマゾンのジェフ・ベゾスといった世界的リーダーも、従来のルールを覆すことができるような「権力」(Power)を持っていたからこそ、イノベーションを起こすことができたとも言えるのではないでしょうか。

「権力」を手にするための七つの資質

本書のメインテーマは「権力」を手にするためには、七つの資質が必要であり、心がけさえすれば、すべて後天的に身につけることができるという主張です。

各資質の詳細な説明は本書に譲りますが、この七つの資質のうち、特に印象に残ったのが、「自己省察」です。

権力を志向する人間に必要な資質が「自己省察」というのは少し意外ですが、著者はその真意を以下のように説きます。

『内省や省察なしに学習や成長はありえない。自己省察の習慣は経験を積むことに相当する。また同時に精神を集中し、文章を書き、熟考する訓練にもなる。これは、上をめざす人にとって極めて有用な習慣と言えよう。』

まとめと感想

本書では他にも、「世の中は公正・公平ではない」や「自分の最大の敵は自分である」(セルフ・ハンディキャッピング)など、世の中の真理や心理学的なコンセプトを交えながら、「権力」を志向することの意味が解説されています。

著者も述べているように、表だって語られることはないものの、著名な経営者として成功した方々も、立身出世のために、いろいろな渡世術を駆使してそのポジションを得てきたはずです。

本書では、そんな実際に権力を握った方々の実名やエピソードから、それにより何を成し遂げたのかまでが紹介されており、ただの権力志向本とは一線を画す内容となっています。

「ビジョナリー・カンパニー」の著者であるジム・コリンズの「これは人生に必要不可欠な指南書だ」というコメントも納得できる濃い内容ですので、ぜひ手に取ってみてください。

新刊ビジネス書を「要約」でチェックできるプレミアム版も人気です

book-smartとは