書評『ウォール・ストリート・ジャーナル ザ・マネジメント』
(アラン・マーレイ/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
プロローグ 最短コースで効率よくマネジメントの知識を身につける
第1章 マネジメント
第2章 リーダーシップ
第3章 モチベーション
第4章 人事
第5章 戦略
第6章 実行力
第7章 プロジェクトチーム
第8章 変化
第9章 グローバル化
第10章 企業倫理
第11章 セルフマネジメント
著者:アラン・マーレイ
 前ウォール・ストリート・ジャーナル副編集長(編集局次長)、前ウォール・ストリート・ジャーナル電子版編集主幹。同紙のワシントン支局長を10年以上にわたってつとめ、三度のピューリッツァー賞をはじめワシントン支局に多くの受賞歴をもたらした。自身の記事も高く評価され、アジアに関する記事で海外記者クラブ賞、連邦準備制度理事会に関する記事でジェラルド・ローブ賞とジョン・ハンコック賞、ビジネスに関するコラムでアメリカビジネス編集者・著者学会賞を受賞、これらの実績と手腕をかわれ、2013年1月に ピューリサーチ・センターの所長に就任した。
 ピューリサーチ・センター(Pew Research Center)は、ワシントンD.C.を拠点にアメリカ合衆国や世界における人びとの問題意識や意見、傾向に関する情報を調査するシンクタンク。現在は、同研究所の所長をつとめる傍ら、ウォール・ストリート・ジャーナルに記事を寄稿するなど積極的に取材執筆活動をつづける。著書に『CEOvs.取締役会』(ダイヤモンド社)などがある。

書評レビュー

グローバルリーダーとして成功するための秘訣

世の中には、「マネジメント」と名の付く著書が数多く執筆されていますが、その中からどのような本を選び読めばいいのか、分からないのが実情ではないでしょうか。

特に、マネジメントクラスになった時に、マネジメントの基本書を読みたいと思っても、なかなか良書を見つけられないという声を多く聞きます。そんな時に、お薦めしたいのが本書『ウォール・ストリート・ジャーナル ザ・マネジメント』です。

本書では、ドラッカーからマイケル・ポーターといったマネジメント論の第一人者の理論をコンパクトに整理している、つまり、マネジメントの基礎を体系立てて学ぶことができるのですが、もう1つ、他の類書と異なる特徴があります。

それは、アメリカで最も販売部数の多い新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記者が取材した、グローバルカンパニーのトップが直面した実際の課題のエピソードも紹介されているという点です。

つまり、マネジメント論の基礎から現場のエピソードまでを網羅した一冊が本書なのです。本書では、マネジメント理論、リーダーシップ、モチベーション、人事、戦略などが章立てて紹介されていますが、今回は「リーダーシップ」についてご紹介します。

優れたリーダーに共通する特徴とは?

筆者は、リーダーシップには特定の形はないとしながらも、優れたリーダーたちには1つだけ共通した特徴があると述べています。それは、「尊大さと謙虚さが共存していること」だそうです。

『すぐれたリーダーには、「自分についてこい」と言えるだけの尊大さがあります。その一方で、誰かがもっといい方向性を知っているかもしれないと考えるだけの謙虚さもあります。自信たっぷりにみんなを率いながら、同時に自分を疑うことを知っているのです。自分のやり方を信じていますが、同時に組織のためなら自分を抑えることができます』

筆者は、最近のリーダーは、この「謙虚さ」の部分が足りないと述べており、かの有名な「ビジョナリー・カンパニー」の筆者ジム・コリンズが調査した結果として、コリンズのコメントを紹介しています。

「偉大な企業に共通するリーダーの特徴を知って、我々は驚きを隠せなかった。(中略)メディアの注目を集める派手なリーダーたちとは大違いだった。飛躍した企業のリーダーは、みな遠慮がちでおとなしく、内気と言ってもいいくらいだ。謙虚な人柄と、プロとしての強い意志が、奇妙に共存しているのである。」

本書ではまた、ヒューレット・パッカードの元CEOのエピソードを引き合いにだし、リーダーが自分をよく見せることに注力してしまったがためにリーダーシップの失墜を招いたエピソードなど、非常に興味深い内容が紹介されています。

他にも、成功しているリーダーの「リーダーシップの6つのスタイル」や「人事採用で重視すべき3つの基準」から、「お金はモチベーションたりえるのか」といった、マネジメントを学ぶ上で基本かつとても重要なエッセンスが多数紹介されています。

冒頭でも紹介しましたが、やはり、成功談、失敗談含め、実際のグローバル企業の現場が紹介されていることが本書の大きな特徴であり、読み物としても読みごたえのある一冊となっています。マネジメントクラスになられたばかりの方にはその基本書として、マネジメントクラスになられて日がたつ方には自身の足りない部分を補うための辞書的な使い方がお薦めかと思います。

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