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特集では毎回旬のテーマやビジネスパーソンが押さえておくべきテーマにおける必読書を「超ダイジェスト版」でご紹介します。本特集では2015年から2080年まで、政治経済やエネルギー、企業社会などマクロな未来を予測した5冊の良書をまとめてご紹介しています。特集『未来はテクノロジーでどのように変わるのか』とあわせてご覧ください。

 

100年予測

『100年予測』
ジョージ・フリードマン[著]
<要約を読む>

(1)『100年予測』(ジョージ・フリードマン/著):
『100年予測』は「地政学」の観点から、2080年までの世界を予測しようという大胆な試みを行った一冊です。その予測は「21世紀こそがアメリカの時代になる」という衝撃的なもの。

1980年代初めから、北大西洋と太平洋の二つの大洋を制する国こそが、世界貿易体制と世界経済を制するようになりました。しかし、海軍力を構築し、それを世界中に配備するには、莫大なコストがかかります。そのため支配する必要のある海洋に面していることが、世界を支配する条件となります。

つまり、北米大陸を支配する国「アメリカ」が、少なくとも21世紀の間は世界の覇権を事実上掌握するというのです。そのことから、著者は21世紀にはアメリカを抑えるために同盟を形成しようとする勢力と、その足並みを乱すために軍事行動を仕掛けるアメリカとの衝突の世紀でもあると予測する。

さらに著者はアメリカの次なる挑戦者は中国である、という予測に対しても否定的です。中国は物理的に孤立しており、主要な海軍国でもなく、本質的に不安定な国だからです。日本やアジア諸国への言及も多く、緻密なデータと歴史的事象をもとに大胆なシナリオが明らかにされています。

著者ジョージ・フリードマンは情報機関「ストラトフォー」(世界政治経済の分析や予測、提言を通して指導力を発揮し、「影のCIA」の異名を取るほど各界に大きな影響力を誇る民間企業)の創設者。

団塊の秋

『団塊の秋』
堺屋太一[著]
<要約を読む>

(2)『団塊の秋』(堺屋太一/著):
本書は『団塊の世代』の続編として、超高齢化社会などへの抜本的改革を先送りしてきた日本社会の課題を浮き彫りした一冊。ここで描かれているのは2015年から2028年までの近未来。

著者 堺屋太一氏は前著『団塊の世代』にておいて、人口の多いこの世代の成長が日本経済に大きな影響を与え、政治のあり方をも変えていく予測を展開し、ベストセラーとなりました。

本作では今後の日本社会全般について生活から少子高齢化、地方創生、エネルギー問題などさまざまな課題を、未来の新聞記事と7人の団塊世代の主人公たちの悲喜こもごもな未来が描かれています。

2015年は円安は進むものの、原材料や電力料金、輸送費の値上げ、最低賃金上昇などによるコスト増、関税面でも日本製品が不利になり、数量ベースで見た輸出は伸びないことが予測されています。

さらに、2020年代には医療と介護と学校が猛烈な再編の嵐が吹き、2025年には、戦後体制を維持してきた唯一の業界である出版、放送、新聞などのマスコミ業界にも変革の時代が来る未来が描かれています。最終的に「衰退」から「希望」へ至るストーリーに、あらゆる世代が考えるべきメッセージが盛り込まれています。

2015年~世界の真実

『2015年~世界の真実』
長谷川慶太朗[著]
<要約を読む>

(3)『2015年~世界の真実』(長谷川慶太朗/著):
本書では、まさに2015年に世界に何が起こるのか、日本を中心に、アメリカ、中国・朝鮮半島とEU、ロシア、中東などの動向とともに予測した最新作。

特に、東アジアで最強の発言力を行使してきた中国が、30兆元といわれる「シャドーバンキング」などにより、いよいよ自壊と内乱の危機に直面しているとの指摘は非常に興味深いものとなっています。

一方、アメリカは唯一の基軸通貨米ドルと軍事力を背景に底堅い強さを維持、また、シェールガス革命が、製造業復活や失業率改善を底上げします。

日本でも、アベノミクスによる経済政策や、安倍首相のトップ商談によるインフラ系日本企業の海外への営業、先端医療分野における存在感アップなど「未来の成長」につながる種まきが奏功するとの予測が希望を与えてくれる内容となっています。

バラバラに見えた世界の各地域での出来事が、実は大きな流れを意味している、という著者の予測は大胆ながら説得力があり、国際的なエコノミストである著者の人脈を生かした調査力、投資家としての経験がいかんなく発揮された一冊。

シェール革命

『シェール革命』
財部誠一[著]
<要約を読む>

(4)『シェール革命』(財部誠一/著):
国家の命運を握るエネルギー政策上の大きな転換点とされ、上記3冊の中でも共通して言及されている「シェールガス」について、「報道ステーション」「サンデープロジェクト」などの番組でもおなじみのジャーナリスト財部誠一氏が深掘りした一冊。

「シェール革命」(シェールガスによるエネルギー革命)が米国において実現された意味は大きく、本書でも「21世紀は米国の世紀」であるとして、米国を中心として激変するエネルギー供給構造と地政学的なパワーバランスが描かれています。

米国は安い天然ガスを使った火力発電が増え、電力料金も安くなった結果、製造業の国内回帰が起こり、ついにエネルギーを自給自足できる強国へと脱皮を遂げつつあります。さらには日本などアジアのガス需要に対する主要供給基地の一つになる可能性も強まっています。

本書では、このシェール革命の波を捕らえようと積極的な米国進出を行う日本企業群などについても具体的な企業名が挙げながら詳述されているのも特徴です。

未来企業

『未来企業』
リンダ・グラットン[著]
<要約を読む>

(5)『未来企業』(リンダ・グラットン/著):
本書はタイトル通り、世界経済やライフスタイル、地球環境も含めた今後数十年の大きなトレンドが企業社会に与える影響を説いた一冊。

著者リンダ・グラットン氏は、働く個人の未来を描いた前著『ワーク・シフト』がベストセラーとなっており、本書ではその「企業版」として、企業の未来における役割やリーダーシップの在り方を説いています。

特に変化の速いこれからの時代に重要になるキーワードは企業の「レジリエンス」(変化への適応力、回復力)であると指摘、これを三つの円で説明しています。

つまり、最も内側の領域(社内のレジリエンスを高める)、真ん中の領域(社内と社外の垣根を取り払う)、最も外側の領域(グローバルな問題に立ち向かう)という形で未来の経営者は社会にたいしてもレジリエンスを発揮しなければならないのです。

一読すればこのトレンドがグローバル企業に限った話ではなく、グローバル経済の影響を受けざるを得ない、現代の全ての企業の未来を示唆していると理解できるはずです。