
『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる―自分をすり減らさないための資本主義の授業』(丸山俊一/著)
現代社会において、「やりがい」搾取、慢性的な疲労、労働の無価値感など、「働く」ことに対して悩む人は多い。また、SDGs、ESG投資、パーパス経営などの標語にうさん臭さを感じている人も少なくないのではないだろうか。このような現代的課題に対し、過去の経済学者や哲学者の思想は今も新たな視点やヒントを与えてくれる。
時事・政治経済に関するビジネス書籍の要約・書評の一覧です。
経済学から日本・グローバルの未来予測、シェールガスなど話題のテーマまで、
新刊とロングセラーからおすすめの本をまとめています。
現代社会において、「やりがい」搾取、慢性的な疲労、労働の無価値感など、「働く」ことに対して悩む人は多い。また、SDGs、ESG投資、パーパス経営などの標語にうさん臭さを感じている人も少なくないのではないだろうか。このような現代的課題に対し、過去の経済学者や哲学者の思想は今も新たな視点やヒントを与えてくれる。
近年、日本の魅力を国際社会に向けて発信する手法として、「クールジャパン」という標語とともに様々なプロジェクトが政府主導で行われている。だが、それらの施策の多くは、成果を上げているとは言い難い。その原因は著者によれば、海外には日本文化への確かな需要が存在するものの、魅力の伝え方に問題があるからだ。
バブル崩壊以来、日本経済は低迷し、回復の兆しや明るい展望が描きづらい状況が続いている。その要因として、人口減少や社会保障費の増大などがよく知られている。さらに本書で指摘されるのが、企業・国民のマインドセットや産業構造自体に「昭和の負の遺産」が居座り続けていることだ。だが政策に期待していては手遅れになる。
ロシアによるウクライナ侵攻では、SNSを中心とする情報戦が繰り広げられている。ネットや SNSには、根拠のないデマやフェイクニュースが拡散される危険性が潜んでいる一方で、圧倒的なスピード感で誰もが情報が共有できるというメリットもある。政府当局が隠したい「不都合な真実」に肉薄できる可能性があるのだ。
国民の所得格差が大きな国は社会や政治が不安定になりがちだが、近年のアメリカはまさにそのような状況で社会の分断が進んでいる。思想的にも多文化主義を推進しようとするリベラルと、キリスト教に基づく伝統的な社会を維持しようとする保守に分かれ、憎しみ合っているのだ。
諸外国に比して特定の宗教への帰属意識が低い日本人には理解しがたいかもしれないが、世界で起こる出来事の背後には、必ずと言っていいほど宗教的対立があるという。2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻も例外ではない。世界の出来事の本質を理解するためには、宗教対立について知る必要があるのだ。
昨今、SNSなどで「選挙に行こう」と若者の政治参加を呼びかける政治家やインフルエンサーが増えている。だが、本書の著者、成田悠輔氏は「若者が選挙に行って『政治参加』したくらいでは何も変わらない」と断言する。全有権者に占める 30歳未満の有権者の割合は 13.1%に過ぎず、投票率が上がっても超マイノリティのままだからだ。
近年、「安い日本」と言われる現象に見るような経済成長の停滞に加え、2022年に急速に進んだ円安の影響もあり、日本経済は危機的状況に陥っている。かつてアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国だった日本が、今このような現実を突きつけられてしまっている理由や背景を正しく理解しているだろうか。
「執拗に相手を非難する」「何にでも白黒つけないと気が済まない」「何かと敵をつくり、対立を煽る」…、こうしたパーソナリティを持つ人々はしばしばカリスマ性を帯び、リーダーに選ばれることもある。実際に、近年のポピュリズムの台頭には、こうした特徴を持つ人物が政治家になっている背景があるという。
世界史は、多くの国々の治乱興亡のストーリーでもある。なかには大国まで発展しながら滅びた国や、建国後すぐ地図から消えてしまった国もある。だが滅亡してしまった国についての情報は、一部有名国家以外あまり目にすることがない。そこで本書では、様々な背景を抱えながら消えていった国々の知られざる史実にスポットライトを当てる。