- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書はジョナサン・アイブのデザイン哲学を解説した初めての一冊である。アイブ及びアップルの製品デザインの真髄、そしてこれまでほとんど明かされてこなかった、アップルのデザイン部門(IDg)がエンジニアリングの限界を超えていくプロセスが克明に描かれている。歴代アップル製品のプロトタイプの図版なども豊富に掲載され、デザインやデザイン思考に興味がある方には必読である。
また、学生時代から業界に知られた天才デザイナーであるアイブが、なぜ今もアップル社内でデザインを手掛けているのかが描かれ、一読すれば、企業を貫く哲学の重要性にも気づかされるだろう。その意味で、クリエイティブな人材が活躍できる組織づくりの観点からも示唆が多く、経営とデザイン、そしてプロダクトをつなぐ貴重な一冊となっている。
著者:リーアンダー・ケイニー(Leander Kahney)
12年以上アップルを取材し続けるジャーナリストで、主な著作には『スティーブ・ジョブズの流儀』(武田ランダムハウスジャパン)、『The Cult of Mac』(エスアイビー・アクセス)などがある。Wired.comのニュース編集者を経て、現在はCultofMac.comの編集者兼発行人。米国サンフランシスコ在住。
翻訳:関 美和
翻訳家。慶應義塾大学文学部卒業。電通、スミス・バーニー勤務の後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経てクレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。
主な登場人物
まえがき
1章 生い立ち
2章 イギリスのデザイン教育
3章 ロンドンでの生活
4章 アップル入社
5章 帰ってきたジョブズ
6章 ヒット連発
7章 鉄のカーテンの向こう側
8章 iPod
9章 製造・素材・そのほかのこと
10章 iPhone
11章 iPad
12章 ユニボディ
13章 サー・ジョニー
謝辞
守秘義務と情報源
要約ダイジェスト
父親ゆずりの才能とアップル入社
ジョナサン(ジョニー)・アイブは、英国の堅実な家庭に育った。父のマイケル・ジョン・アイブは銀細工の職人で、ものづくりの技能を活かして工芸の教師となり、その後教育委員にも指名された。
ジョニーの才能は早くからスケッチやデザイン画に現れていた。父マイクがジョニーのデザインの才能を伸ばしたことは間違いない。マイクは「ドローイングとスケッチ、対話と議論」がものづくりの過程に欠かせないと訴え、指導者たちには「デザインストーリー」を授業に取り入れるよう勧めていた。
その後ジョニーがiMacやiPhoneを開発する過程で、こうした教えが実を結ぶことになった。そしてジョニーはイングランド北東部の工業デザイン(ID)分野の名門大学ニューカッスル・ポリテクニックに進む。ジョニーが受けたデザイン教育は、