『同族経営はなぜ3代で潰れるのか?
ファミリービジネス経営論』
(武井 一喜/著)

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  • 目次
 岡山の名門同族企業「林原」による不正会計や、大王製紙の創業家出身の経営者による背任事件など、日本には会社の不祥事を同族経営のせいだと結論づけて報道する風潮がある。しかし、世界のGDPの70~90%は、ファミリービジネス(創業家が株式または経営に大きな影響力を持つ企業)が作り出しており、日本の企業も8割以上がファミリービジネスだといわれている。

 一方で、ファミリービジネスが二代目に引き継がれるものが30%、三代目まで存続する企業は12%に過ぎない。本書では、そのような日本経済の根幹を担うファミリー企業を三代で潰さないためにとるべき経営戦略やオーナー家の役割が、「オーナーシップ」「ファミリー」「ビジネス」の3点からバランス良くマネジメントするモデルをもとに解説される。

 欧米では、地域への貢献などの長期的な視野を持つファミリービジネスがむしろ尊敬を集めており、企業経営論が確立しているという。「7世代200年」続く経営を目指す欧米でのファミリービジネス経営論のエッセンスも散りばめられ、オーナー企業関係者はもちろん、長期的な事業展開を目指す経営者やマネジメント層にも参考になる一冊である。

著者:武井 一喜
 WellSpring(ウエルスプリング)代表。一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会(FBAA)理事・事務局長。慶應義塾大学経済学部卒業。コロンビア大学ビジネススクール経営学修士(MBA)。キャラクター商品メーカーを経て、家業の寝具製造卸会社に勤務。基幹業務システム設計導入、ライセンスブランド導入、リストラプラン策定・実施、新規事業プロジェクト「ワンズオウン」の立上げ、4代目社長。
 その後IT 関連の起業に参加。2003 年WellSpring を設立し、ファミリービジネスに向けたコンサルティング、研修、講演、コーチング、執筆活動を行っている。日本人初のFFIファミリービジネス・アドバイジング認定証保持者。平成21年度経済産業省「地域経済におけるファミリービジネスに関する研究会」委員。
第1章 戦後生まれの同族企業が危ない
第2章 ファミリー企業の競争力の源泉
第3章 ファミリーの幸福とビジネスの発展の両立
第4章 事業承継でファミリーの強味を次世代につなぐ
第5章 ファミリービジネスアドバイザーの選び方

要約ダイジェスト

多くの同族企業が直面する危機

 日本の経済を支える、戦後生まれのファミリー企業の多くで、オーナー家が次世代に事業を引きつぐことの難しさに直面している。それは、戦前に生まれたファミリー企業に比べ、戦後生まれのファミリー企業ではオーナー家が事業を支え、発展させていくための組織原則があいまいになっているからである。

 一方、欧米ではファミリービジネス研究の結果、ファミリーとビジネスを一体のものと捉え、オーナー家が代々ビジネスの価値を高める仕組み作りが行われている。それは、ビジネスのマネジメントのみならず、ビジネスとファミリーの両方を管理、発展させ、両者の関係を調整する仕組みである。

 つまり、オーナー経営者は、単にビジネスを経営するだけではなく、

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