『21世紀の資本』
(トマ・ピケティ/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 欧米では格差問題への関心が非常に高く、「ウォール街占拠」事件は記憶に新しい。また、日本でも近年「格差社会」という言葉が叫ばれつつある。そんななか、フランスの経済学者トマ・ピケティ教授が、20ヶ国300年に及ぶデータから経済格差の本質に迫った本書は、世界各国で学術書として異例のベストセラー(累計150万部超)となっている。

 本書でキーとなるのは「資本収益率(r)> 経済成長率(g)」という不等式である。この状態のとき、格差は不可避に拡大し続けるという。これを単純化すれば、「能力主義社会」から「世襲(財産)ベース社会」への回帰ともいえる。実際に世界の経済格差は、19世紀少数独占時代の水準まで戻ってきており、しかも、この格差は自律的なメカニズムによっては縮小しない。

 本書では、富の未来から我々が取り得る対策までが提示され、先行き不透明な時代に大きなヒントを与えてくれる。ノーベル経済学賞受賞の経済学者ポール・クルーグマンをして「この10年間で最も重要な経済学書」と言わしめた一冊。

著者:トマ・ピケティ
 1971年クリシー(フランス)生まれ。パリ経済学校経済学教授社会科学高等研究院(EHESS)経済学教授。EHESSおよびロンドン経済学校(LSE)で博士号を取得後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭を執る。2000年からEHESS教授、2007年からパリ経済学校教授。論文、著書多数。多数経済発展と所得分配の相互作用について主要な歴史的、理論的研究を成し遂げる。特に国民所得に占めるトップ層のシェアの長期的動向についての近年の研究を先導

翻訳:山形浩生
 1964年東京生まれ。東京大学都市工学科修士課程およびMIT不動産センター修士課程修了。大手調査会社に勤務,途上国援助業務のかたわら翻訳および各種の雑文書きに手を染める。著書『「お金」って、何だろう?』(共著 光文社新書 2014)ほか。訳書ケインズ『お金の改革論』(講談社学術文庫 2014)、バナジー&デュフロ『貧乏人の経済学』(みすず書房 2012)ほか

翻訳:守岡桜
 翻訳家。訳書ウイーラン『統計学をまる裸にする」(日本経済新聞出版社 2014、シラ
ー『それでも金融はすばらしい』(東洋経済新報社 2013 以上共訳)ほか。

翻訳:森本正史
 翻訳家。訳書 ケンリック『野蛮な進化心理学』(白揚社 2014)シープライト『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』(みすず書房 2014 以上共訳)ほか

第Ⅰ部 所得と資本
・第1章 所得と産出
・第2章 経済成長―幻想と現実
第Ⅱ部 資本/所得比率の動学
・第3章 資本の変化
・第4章 古いヨーロッパから新世界へ
・第5章 長期的にみた資本/所得比率
・第6章 21 世紀における資本と労働の分配
第Ⅲ部 格差の構造
・第7章 格差と集中―予備的な見通し
・第8章 二つの世界
・第9章 労働所得の格差
・第10章 資本所有の格差
・第11章 長期的に見た能力と相続
・第12章 21世紀における世界的な富の格差
第Ⅳ部 21世紀の資本規制
・第13章 21世紀の社会国家
・第14章 累進所得税再考
・第15章 世界的な資本税
・第16章 公的債務の問題

要約ダイジェスト

富の分配をめぐる論争

 富の分配は、今日最も広く議論されて意見の分かれる問題のひとつだ。現代の経済成長と知識の浸透のおかげで、マルクス主義的な終末は避けられたが、資本や格差の深層構造が変わったわけではない。

 資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき(19世紀はそうだったし、今世紀でもそうなる見込がかなり高い)、資本主義は自動的に、持続不可能な格差を生み出す。そして、それが民主主義社会の基盤となる能力主義的価値観を大幅に衰退させる。

 それでも、民主主義が資本主義に対する支配力を回復し、

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