『ひとことの力 松下幸之助の言葉』
(江口 克彦/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助(現パナソニック創業者)氏は、一代で世界的企業を築くと、松下政経塾の設立など経済活動のみならず奮闘し、94歳で亡くなるまでその経営哲学・人間観を深め続けた。

 本書は、氏の晩年20年以上側近を務めた著者が、ほぼ毎日交わされた「帝王学」ともいえる会話を、ありのままに記録したものである。語られているテーマは企業経営、リーダーシップ、政治、教育などから、その根底にある人間観まで幅広い。

 また、語録や伝聞とは異なり、口語体による「生」の言葉から、本来の思想を知ることができる貴重な内容となっている。「尋ねると、部下は成長する」「社員の汗を思い浮かべて経営する」「自分より優れた人間を使う」など、その言葉には、時代を超えてすべてのビジネスパーソンの指針となる力が宿っている。

著者:江口 克彦(エグチ カツヒコ)
 参議院議員。経済学博士。1940(昭和15)年2月1日、名古屋生まれ。愛知県立瑞陵高等学校、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。松下電器産業株式会社入社後、昭和42年PHP総合研究所へ異動。平成16年同研究所社長に就任。平成21年退任。その間、松下幸之助のもとで23年間、側近として過ごす。その後、平成22年7月の参議院議員選挙に「地域主権型道州制」の政策を掲げ、出馬、当選。
 松下幸之助に関する多数の著作があり、松下幸之助の継承者、伝承者と評される。また、松下幸之助の主張した「廃県置州論」を発展させ、「地域主権型道州制」を提唱、国会では、超党派の「道州制懇話会」の共同代表等を歴任。各地で、「地域主権型道州制」の講演、啓蒙も行う
心を許して遊ぶな
心のなかで手を合わすように
風の音を聞いて悟る人もおるわな
人生と経営は賭け事ではないで
多くの知恵を借りることが大事や
あとは、わしに任せておけ!
わしの言う通りにやるんやったら、きみは、要らんよ
自主自立の心持ちが、大事やね
きみの声を聞きたい
汗のなかから知恵を出せ
なかなか、いい声、しとるなあ
「勝てば官軍」はあかんよ
もう、死んでもええわ…ほか全50項目

要約ダイジェスト

心を許して遊ぶな

 もう40年ほど前になる。松下幸之助、79歳のときである。この頃は毎日のように松下に呼び出され、側で仕事やら雑談をして過ごすことが常であった。二人でお茶を飲んでいたとき、松下が次のようなことを話し出した。

 「およそ経営者たる者は、人とともに憂い、人とともに楽しむということではあかんな。人よりも先に憂い、人よりも後に楽しむということでないとな。人が遊んでいても、自分は常に働いているとか、ものを見てもホッと仕事のことを思いつくとかね。先憂後楽の志があれば、そうなるわけや。

 仮にまったく心を許して遊ぶような人がいるならば、

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