- 本書の概要
- 著者プロフィール
例えば、著者もマッキンゼー時代に働いたことがある大前研一氏などは、若い頃から鍛えられた猛烈な思考の瞬発力で「即断即決」が可能であったという。しかし多くのビジネスパーソンは、そこまでの論理的思考力は持ち合わせておらず、また不得意分野に関しても決断しなければならないときがある。
そこで役立つのが「熟断思考」である。これは、著者がスタンフォード大学やマッキンゼー社などを経てブラッシュアップした思考体系であり、時間的制約の範囲内で、じっくりと質の高い意思決定を行うものだ。本書では、普通の人でもプロセスを踏んで的確な意思決定を行える「熟断思考」の理論と実践が、ケーススタディも踏まえ、解き明かされている。
著者:籠屋邦夫(こもりや・くにお)
ディシジョンマインド社代表。東京大学大学院化学工学科修了後、三菱化成(現三菱化学)入社。新製品・新製造プロセスの開発等に従事し、渡米後、スタンフォード大学大学院エンジニアリング・エコノミック・システムズ学科修了。マッキンゼー社東京事務所にて企業ビジョン策定・全社組織改革などのコンサルティングに携わる。シリコンバレーに本拠を置くストラテジック・ディシジョンズ・グループ(SDG)に参画し、パートナー、日本企業グループ代表。
帰国後は、ATカーニー社ヴァイスプレジデントとして広範囲な経営課題に対するコンサルティングに取り組む。ディシジョンマインド社を設立し、企業やビジネスマンの戦略スキルや意思決定力向上を支援するエデュサルティング活動(Education+Consulting=Edusulting)に注力。メーカーを中心とする130社以上に対し「戦略的意思決定」「新規事業創造」「技術経営」を中心として、企業内教育研修の講師を務め、スタンフォード大学、慶應義塾大学、立命館大学、青山学院大学、福井県立大学などの大学院でも講義を実施
序章 スタンフォードとマッキンゼーで学んできたこと
第1章 悩みや課題をリストアップし、全体観を把握する
第2章 フレームを設定する
第3章 選択肢を精査し、列挙する
第4章 不確実性を考慮する
第5章 価値判断尺度をはっきりさせる
第6章 基本3パーツを統合しての意思決定
要約ダイジェスト
ロジカルシンキングの限界
近年、ビジネスで起こる様々な問題分析を専門とするコンサルタントが活躍し、3Cや4P、5F分析、SWOT分析やロジックツリーといったフレームワークを駆使して、問題解決を図っている。
しかし、フレームワークを使っても解けない問題や課題があるということはあまり知られていない。例えば、ビジネスでは、次のような課題に行き当たることがある。これらはいわゆるロジカルシンキングだけでは解けない課題の例だ。
- 新規事業に関する提案を上司から求められたが、
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