- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では氏が生涯を通じて目指した「企業の利潤と道徳を調和させる」という哲学が記されている。この、ビジネスにおける利益追 求を「算盤(そろばん)」、仁義道徳を「論語」としてたとえたものが書名となっている。
これは、成功者だから言えるきれいごとだろうか。一読すれば、このような思想が生涯を貫いていたからこそ、膨大な数の会社を設立し軌道に乗せ、日本経済の発展に尽力できたことがわかるだろう。私利私欲で行動していたとすれば、とても達成できない偉業である。人が生きる上で大切にすべき本質をとらえ、100年以上読み継がれる名著。
1840年、現在の埼玉県深谷市生まれ。元幕臣。67年徳川昭武に随行してヨーロッパ諸国を歴訪。維新後、69年明治新政府に仕官、民部省、大蔵省に属する。73年健全財政を主張して辞任後は、第一国立銀行をはじめ約500社の企業の創立・発展に貢献。商工業の発展にも尽力し、経済団体の組織、商業学校の創設など実業界の社会的向上に努めた。70歳で退任以降は、社会公共事業の育成発達に努め、国際親善に取り組む。1931年没
第2章 立志と学問
第3章 常識と習慣
第4章 仁義と富貴
第5章 理想と迷信
第6章 人格と修養
第7章 算盤と権利
第8章 実業と士道
第9章 教育と情誼
第10章 成敗と運命

株式会社リクルートを経て、2000年、株式会社リンクアンドモチベーションを設立。2008年、東証一部に上場。2013年より、代表取締役会長就任。現在はグループ11社の会長を務める。(>>推薦書籍一覧)
渋沢栄一は、近代日本における財界のゴッドファーザーである。生涯に500以上の会社を興し、今の時代にも絶大なる影響を保っている。本書は、渋沢栄一の国家観、事業観、道徳観が余すところなく記されている。特に、事業と道徳の両立に関する考え方は、企業の不祥事が増加している今、我々が受け継ぐべき財産である。
推奨読者:
「道徳=論語」と「算盤=利益」の両立に悩む日常を過ごす、実業界に関わる人全般が読者対象となる。
要約ダイジェスト
論語と算盤は遠くて近いもの
論語という書物と算盤(経済活動)とは、不釣合に見えるが、国の富をなす根源は仁義道徳である。正しい道理の富でなければ、その富は永続することができない。だから、論語と算盤というかけ離れたものを一致させることが必要なのだ。
また、道徳と離れ、欺瞞にあふれた商才は決して真の商才ではない。それゆえ商才も道徳の書である論語によって養えるのである。人の世に処するの道(世の中を生き抜く処世術)に関しても、論語を熟読していけば、大いに学ぶところがあるだろう。
わが国の賢人豪傑のうちで、最も戦上手で処世が巧みであったのは、