- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者はこのことを直感的な速い(=ファスト)思考と、論理的な遅い(スロー)思考というたとえで表現する。本書では、著者が40年来研究してきた意思決定における脳の認識エラー(バイアス)のプロセスとその対応が、2つの思考様式と多くの実験結果から理路整然と解き明かされ、著者の集大成ともいえる上・下巻の大著となっている。
驚きとともに知的好奇心を刺激する内容でありながら、読者は、人間とは何か、自由意思とは何かについて、より本質的な洞察をすることができるようになるだろう。自らの判断力や意思決定に磨きをかけたい方には必読の一冊である。
認知心理学者。プリンストン大学名誉教授。専門は意思決定論および行動経済学。1934年テルアビブ生まれ。幼少期をパリで過ごし、その後家族とともにパレスチナに移住。エルサレムのヘブライ大学で心理学と数学を学んだ後、イスラエル国防軍心理学部門に勤務。1958年にアメリカに渡り、カリフォルニア大学バークレー校で心理学の博士号を取得。ヘブライ大学などを経て、1993年よりプリンストン大学教授。2002年に、不確実な状況下における意思決定モデル「プロスペクト理論」などを経済学に統合した業績が評価され、心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞。
訳者:村井 章子
上智大学文学部卒、翻訳家。
・登場するキャラクター
・注意と努力
・怠け者のコントローラー
・連想マシン
・認知容易性…ほか
第2部 ヒューリスティクスとバイアス
・少数の法則
・アンカー
・利用可能性ヒューリスティック
・原因と統計
・平均への回帰…ほか
第3部 自信過剰
・わかったつもり
・妥当性の錯覚
・直感対アルゴリズム

1976年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券)入社。フロント、ミドル、バックの幅広い部門を担当、2008年に代表取締役社長、2013年に代表取締役副会長、2014年より現職に就任。(>>推薦書籍一覧)
「ファスト」は「直感的思考」、「スロー」は「熟慮熟考」と言い換えることもできる。多くの例を用いて人の思考回路・思考方法を解き明かしており、大変興味深く、意思決定を行なう上で多くの示唆がある。ノーベル経済学賞受賞者の著書ではあるが、内容はわかり易く、最近、文庫化されてより身近にもなっている。
推奨読者:
毎日は意思決定の連続であるが、特にリーダーは時々刻々、決断が求められる。自分の思考がどういうプロセスで行なわれているかを理解しておけば、時間軸を含めて従来の思考の癖や傾向を多少とも修正でき、プラスになる。(渡邉英二)
要約ダイジェスト
システム1(速い思考)とシステム2(遅い思考)
困難な問題に直面し、直感的に解決策が浮かんでこないとき、私たちはより時間をかけて頭を使う熟慮熟考(遅い思考)へとスイッチを切り替える。この速い思考と遅い思考の違いは、過去 25年にわたって多くの心理学者が研究してきたものである。
「速い思考=システム1」は自動的に高速で働く。システム1が行うのは、