『社長失格 – ぼくの会社がつぶれた理由』
(板倉 雄一郎/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 Windows 95の発売により、インターネットブームが起こった頃、画期的なインターネット広告事業「ハイパーシステム」を開始して一躍時の人となったのが、著者の板倉雄一郎氏である。著者は大学時代から起業家として活躍していたが、この事業は先行投資負担と売り上げ不振などから資金繰りが悪化し、巨額の負債を抱えて自己破産に至る。

 本書においては、当時の時代背景や株主、金融機関との確執、経営判断のミス、そして著者の心中が余すところなく描かれ、なぜ企業が倒産してしまうのか、その本質に迫った生々しいドキュメンタリーとなっている。

 約30億円という巨額の資金調達、ビル・ゲイツとの接触、NASDAQ上場寸前という絶頂から、少しずつ破綻に向かっていく内容は、起業における負の側面である「失敗」をリアルに描いた数少ない一冊として、起業ブームである現代にも多くの教訓を伝えている。

著者:板倉 雄一郎
 1963年12月26日千葉県生まれ。83年ゲームソフト会社設立後、91年(株)ハイパーネット設立。96年にインターネットと広告を結びつけた「ハイパーシステム」を開発し、インターネットの接続無料サービスを実現。注目を浴び、ニュービジネス協議会の「ニュービジネス大賞」を受賞するも、97年12月負債総額37億円で破産。翌98年1月、自身も同26億円で自己破産。現在はSynergy Drive Inc. C.E.O.。ベンチャーや投資についてのコンサルティング、講演活動も行う。
プロローグ―1997年12月24日
第1章 創業―1984年2月~92年9月
第2章 展開―1992年10月~95年8月
第3章 ハイパーシステム―1995年9月~97年1月
第4章 転落―1997年2月~10月
第5章 倒産―1997年11月~12月
エピローグ―再び、1997年12月24日

推薦者コメント
matsuo iwata岩田松雄<株式会社リーダーシップ コンサルティング 代表取締役社長>
株式会社アトラス、株式会社イオンフォレストでの経営職を歴任後、2009年、スターバックスコーヒージャパンの代表取締役CEOに就任。退任後、株式会社リーダーシップコンサルティングを設立、代表を務める。(>>推薦書籍一覧

 いわゆるネットベンチャーの走り。若い著者はフェラーリを乗って何が悪いとうそぶく。ベンチャー投資のバブルに乗って、資金調達したが、BIS規制の貸し渋りによって、破綻。37億円の債務を負って自己破産。卓越した発想、行動力は本当に素晴らしい。ただ経営者として、徳を積むという努力を怠ったことが破綻の真の原因だと思う。

推奨読者:
 すべてのベンチャー経営者、これから起業を目指す若者。私が教えている立教のビジネススクールの教科書としても使用している。ぜひ読むべし!

要約ダイジェスト

ハイパーシステム

 1995年は、日本で「インターネット」なるものが本格的にブームになった年である。周囲がインターネットと騒ぎ始めた最初の頃、ぼくはいささか冷ややかな目で、ブームを眺めていた。ところが、インターネット・ブームは凄まじいスピードで加熱していった。

 ぼくには一つの理念があった。それはいかに「自身の事業をつぶせるか」である。誰もが自分の事業の永続を願うが、時代が変われば事業が同じ様相で生き延びることはできない。ならば、その事業の当事者が先回りして、「この事業はどうやったらつぶれるのか」を想定し、原因を突き止めればよいのである。

 では、株式会社ハイパーネット設立後に立ち上げ、すでに軌道にのっていたIMS事業(電話回線を利用した自動応答サービス)がつぶれるのはどんな時だろうか。ぼくが出した結論は、

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