『DIGITAL DISRUPTION デジタル・ディスラプション』
(ジェイムズ・マキヴェイ/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次(主要)
 米国の気鋭のアナリストが、デジタル社会における「破壊的イノベーション」である「デジタル・ディスラプション(デジタル時代の創造的破壊)を論じた一冊。イノベーション論の古典『イノベーションのジレンマ』の現代版ともといえる内容となっている。デジタル・テクノロジーの進化による「既存事業モデルの破壊」は、昔から言われてきたが、近年いよいよその時代が到来した感がある。本書で描かれる「デジタル・ディスラプション」という潮流は、今後、間違いなく加速し、近い未来に実現するだろう。ぜひご一読頂きたい。
著者:ジェイムズ・マキヴェイ
 フォレスター・リサーチ社副社長兼主席アナリスト。デジタル・ディスラプション研究の第一人者。フォレスター・リサーチ入社前は学問の世界で活躍。シラキュース大学ニューハウススクール・オブ・パブリック・コミュニケーションズで博士号を取得し、ボストン大学で教鞭をとっていた。

翻訳:プレシ南日子
 東京外国語大学外国語学部英米語学科卒業。生命保険会社勤務後、ロンドン大学バークベックカレッジにて修士号取得(映画史)

Part1 デジタル・ディスラプションとは何か?
Part2 デジタル・ディスラプターの思考法
Part3 デジタル・ディスラプターらしく行動する
Part4 今すぐ自分自身を創造的に破壊する

要約ダイジェスト

デジタル・ディスラプターとは何か

 世界はかつてないほどめまぐるしく変化している。かつて企業は規模を拡大することで支配力を獲得してきたが、21世紀に入り規模は重要ではなくなってきた。ここで重要なのは顧客だけだ。企業が勝ち残る唯一の方法は、顧客についての知識を持ち、顧客との関係構築にフォーカスすることなのだ。

 そこへ新しいタイプの競争相手が参入してきた。「デジタル・ディスラプター」、つまりデジタル時代の創造的破壊者である。こうした企業や個人は、デジタル・ツールやデジタル・プラットフォームを活用し、顧客に近づき、彼らと深くかかわりを持つ。ディスラプターはあらゆるところから現れ、顧客を奪い、業界にイノベーションを起こすだろう。

 デジタル・ディスラプション(デジタル時代の創造的破壊)が私たちの生活を根底から変えようとしている。顧客が何を必要としているか判断し、それを提供することが価値であるとすると、デジタル時代の創造的破壊者は、これらすべてを、従来よりも安く、短い開発期間で行い、顧客の生活に大きなインパクトを与えるのだ。

 デジタル・ディスラプションはソフトウェアやアプリだけに限った話ではない。その強みは、どんな商品やサービスのいかなる側面にも、ディスラプションを起こせることにある。物理的側面だけを重視する企業に根深く浸透しているプロセス、たとえばデータ収集、価格決定、人事や資本などの管理のプロセスも例外ではない。

 例えば、少年たちにも入手できる無料ツールを使って、従来の10倍の人々が市場にイノベーティブなアイデアをもたらすと仮定しよう(ちなみに10倍はかなり控えめな数字である)。そして、これらのアイデアを開発し、テストする費用の平均が従来の10分の1(これも控えめな数字だ)になったらどうだろうか?

 この結果、イノペーションカは100倍になる。つまり、あなたの会社は少なくとも100倍、競争の脅威にさらされるのだ。デジタル・ディスラプションによって、これまでは不可能だった数、規模のアイデアが参入しやすくなるため、アイデアの競争までもが加速する。前時代的なルールで経営されている企業に与えるダメージは甚大だ。

 ここで生まれたアイデアの大半は失敗に終わることも承知している。なかには惨憺(さんたん)たる結果に終わるものもあるだろう。しかし、10倍の人々が、それぞれ10倍多くアイデアを市場に提供したら、そのうち1~2%のアイデアが成功するだけで

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