- 本書の概要
- 著者プロフィール
経営学の有用性を示すものとして、特に著者が強調するのが、経営学がもたらす「アンラーニング(固定観念をリセットする)」効果だ。未知の状況でも仮説を立て、ビジネスを前に進めるためには、経営学を使って思考をアンラーニングすることが有効なのだ。
そこで本書では、R&D、イノベーション、ダイバーシティ、組織学習や事業多角化といったテーマにで、経営学の最新理論と研究成果をを取り上げ、「役割」「選択肢」「条件」「関係性」という経営学の4つのアンラーニングについて解説する。この視点は、考え抜く力(思考持久力)を高める大きなヒントとなるだろう。
また、ベストプラクティスやダイバーシティ推進の罠など、経営のホットトピックスについても著者のコンサルティング経験も踏まえて描かれており、読者それぞれの抱える経営課題への示唆が必ず見つかるはずだ。事業会社で理論と実務の架け橋を求めている方はもちろん、理論を学び直したい方など、広く「経営」を志す方にご一読をお薦めしたい。
著者:杉野幹人(スギノミキト)
A.T.カーニー マネージャー、東京農工大学工学部特任教授。東京工業大学工学部卒業。INSEAD 経営管理学専攻(MBA)修了。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。NTTドコモを経て、A.T.カーニーに参画。経営戦略、マーケティング戦略、新規事業、経営会議運営支援等の幅広い経営コンサルティングプロジェクトを手掛ける。著書に『会社を変える会議の力』(講談社現代新書)、『コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術』(共著、東洋経済新報社)。
第2章 なぜ「経営学は役に立たない」と言われるのか
第3章 経営学は役に立つ
第4章 経営学による「役割」のアンラーニング
第5章 経営学による「選択肢」のアンラーニング
第6章 経営学による「条件」のアンラーニング
第7章 経営学による「関係性」のアンラーニング
第8章 経営学は使い方次第
要約ダイジェスト
経営学は役に立つ
経営学のライバルとしての経営持論
「経営学は役に立たない」。これが、多くのビジネスの実務家が本音ベースで考えていることではないだろうか。
そう言われてしまう主な理由は、経営学が「ライバル」に比べて相対的に役に立たないと思われているからだ。そのライバルとは「経営持論」である。これは、実務家が経営の実践で育んだ経験則の論理のことである。
しかし、経営持論の論理は「特殊性」を帯びており、「新しい局面」(新規事業など)では必ずしも役に立たない。私が経営コンサルティングで企業と接してきた限りでは、