- 本書の概要
- 著者プロフィール
日本におけるアフォーダンス研究の第一人者 佐々木正人氏が、人工知能からデザインにまで応用される「アフォーダンス」理論を解き明かした一冊。約半世紀も前に、ジェームス・ギブソン氏はこれまでの伝統的な知覚理論に真っ向から対立し、新たな認知理論「アフォーダンス」を提唱した。
そして現在、その考え方は人工知能等の研究領域において重要なキーとなっているという。本書では、同氏の難解な理論について平易なことばで説明がなされており、周辺知識の無い方でもその魅力を充分に理解できるだろう。
人間は自己と自己をとりまく環境をどのように認識するのか、という究極のテーマに対して科学的に解き明かした本書は人間観や世界観に新鮮で豊かな気付きをもたらしてくれる内容となっている。
著者:佐々木正人
1952年北海道に生まれ。1978年東京学芸大学教育学部卒業。1980年筑波大学大学院心身障害学専攻修了。早稲田大学人間科学部助教授、東京大学教育学部教授を経て、東京大学大学院情報学環教授。認識の基礎にある身体的な過程について関心をもっており、「わざ」や暗黙知などの事象の解明にも興味がある。著書に『からだ:認識の原点』、『アクティブ・マインド』(共編著・ともに東京大学出版会)など。
出版:岩波書店
プロローグ なぜいまアフォーダンスなのか?
1 ギブソンの歩み
2 情報は光の中にある
3 エコロジカル・リアリズム
4 知覚するシステム
5 共鳴・同調の原理
エピローグ リアリティーのデザイン

大和証券SMBC金融証券研究所(当時)にて、資本市場分析に携わる。2012年に退職。現在は日経CNBC経済解説委員、東京証券取引所資本市場講師、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員として活躍。(>>推薦書籍一覧)
アフォーダンスとは米知覚心理学者に完成された認知科学理論です。初期の認知科学は「情報を得る行為=人間が環境から刺激を受け、脳で加工すること」が中心軸にあり、当初は、理論の下で人工知能やロボット開発が行われました。
しかし、これでは、自身の行動による副次的な物を想定するのに膨大な計算量が必要であり、処理しきれないという問題が発生。アフォーダンス=「情報を得るとは、自身を包囲している環境から情報を探索すること」が登場したことにより、この問題点の解決策が開けました。科学への知的好奇心を高めてくれる一冊です。
推奨読者:
経済発展に欠かせない人口知能、ロボット開発に興味がある方。科学には興味があるが、文系だからと触れることすらおっくうになっていた方にもおススメ。
要約ダイジェスト
なぜいまアフォーダンスなのか?
人工知能における「フレーム問題」
アフォーダンス理論は、なぜ世界がこのように見えるのか、聞こえるのかを新しく説明し直すものだ。この理論は、ジェームス・ギブソンというアメリカの知覚心理学者によって、1960年代に完成された。
1980年代に入って、アフォーダンスは、とくに「人工知能(AI)の設計原理」や「人と機械のコミュニケーション」について研究している認知科学者に注目され、現在ではこの領域のキーワードの一つになっている。
AIの領域に「フレーム問題」と呼ばれるものがある。簡単に言えば、