『しんがり 山一證券 最後の12人』
(清武英利/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 後軍(しんがり)とは、主に負け戦で隊列の最後尾を守る役割のことで、当然ながら最も危険な任務である。本書はかつて四大証券会社の一角を占め、巨額の不正会計事件ののち破綻に至った山一證券の清算業務を最後まで遂行し、文字通りしんがりとして、その最期を見届けた12人の社員たちのドキュメンタリーだ。

 自主廃業を迎え、幹部たちも次々と逃げ出す状況のなか、彼らはなぜこのような「貧乏くじ」と言える仕事を引き受けたのか。圧倒的に多かったのは「誰かがやらなければならなかった」という趣旨の回答であったという。確かに、「先駆け」や陣頭指揮をとるリーダーシップは華やかで目立つ。

 しかし、最後まで戦い抜き、仲間を支援することこそリーダーの役割だとすれば、彼らにこそ真のリーダーシップが宿っていたのではないか。本書では、破綻までは会社の「傍流」とされた彼らの覚悟や当事者意識を丹念に追い、業種を問わず多くのビジネスパーソンに、仕事や組織とは何かを強く考えさせる内容となっている。


著者:清武 英利
 1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、75年に読売新聞社に入社。青森支局を皮切りに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より、読売巨人軍球団代表兼編成本部長。「清武の乱」直後の2011年11月18日、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任される。現在はジャーナリストとして活動

プロローグ
一章 予兆
二章 不穏
三章 倒産前夜
四章 突然死
五章 しんがりの結成
六章 社内調査
七章 残りし者の意地
八章 破綻の全真相
九章 魂の報告書
十章 その後のしんがり兵
エピローグ
あとがき 君はまだ戦っているのか
推薦者コメント
eiji watanabe square渡邉 英二<SMBC日興証券株式会社 顧問>
1976年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券)入社。フロント、ミドル、バックの幅広い部門を担当、2008年に代表取締役社長、2013年に代表取締役副会長、2014年より現職に就任。(>>推薦書籍一覧

 平成9年の山一證券廃業を扱ったノンフィクションである。当時と比べれば働く人の考え方も一様ではないが、会社の解散にあたって最後まで残り、様々な障害を乗り越えて破綻原因の究明や顧客資産の返還業務等を遣り上げ、その後の人生も悔いなしと言い切ることができたものは何か、12人の軌跡から多くを学べる。

推奨読者:
 リーダーといえども人間であり、強さも弱さも併せ持つ。人生の岐路に立って何を大事にし、どのように行動するかを自問自答しつつ、ポジティブに活かそうとされる方に読んでいただきたい本である。

要約ダイジェスト

号泣会見の真相

 1997年11月22日。創業100年の節目に山一證券の代表取締役となった野澤正平の就任後104日目のことである。三連休の初日だというのに、東京都中央区新川の同社会議室では、午後5時から野澤ら経営陣と従業員組合との団体交渉が始まろうとしていた。

 その日の日本経済新聞は朝刊一面の大半を使って〈山一証券自主廃業へ負債3兆円、戦後最大〉とすっぱ抜いた。テレビニュースはそれに追随し、午後になっても繰り返し、老舗証券会社の破綻を告げていた。

 この日は土曜日だから証券取引所は閉まっている。大蔵省(後に財務省と金融庁に分割)で裏打ち取材した日本経済新聞社は証券市場の大混乱を恐れて、三連休の初日にスクープを打ったが、

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