- 本書の概要
- 著者プロフィール
私たちは、毎日のようにテレビや新聞紙上で「経済」に関する話題に接している。円高問題、消費税増税、社会保障改革、欧州金融危機など、すべて「経済」問題である。経済学とは、そうした「経済」を取り扱う学問だと言われても、わかるようでいて、わかりにくい。
そこで本書は、経済学に抱かれている難解さを払拭するために、一橋大学経済学部教授陣が、メディアが取り上げる諸問題、経済学的発想の基本、歴史との対比、政策や実務の中での経済といった観点から経済学を大学新入生向けに書いたものである。社会の中で、ものごとを相対化してみる経済学的に柔軟な視点の重要性が平易な言葉で語られている。社会に出て、直接経済と向き合うようになったビジネスパーソンはなおさら、本書の内容が実感を伴って理解しやすいはずだ。
著者:一橋大学経済学部
出版:有斐閣
第1章 大きな社会問題、身近な経済問題
第2章 経済学的な発想とは?
第3章 歴史の中の経済社会
第4章 プロフェッショナルにとっての経済学

大和証券SMBC金融証券研究所(当時)にて、資本市場分析に携わる。2012年に退職。現在は日経CNBC経済解説委員、東京証券取引所資本市場講師、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員として活躍。(>>推薦書籍一覧)
あなたは、為替レート、物の値段が何によって決まっているかを説明できますか?こうした経済の本質的教養なくしてビジネス活動を行うのが難しくなってきています。身近な社会問題を読み解くための知識や、経済学的発想とは何かを、著名経済学者が平易な言葉で解説してくれています。
推奨読者:
日々の経済ニュースにまつわる疑問点を解消したい人や、社会を俯瞰する視点を欲しい人には是非とも読んでほしい一冊。気になるテーマ事に読んでいっても充分に楽しめます!(崔真淑)
要約ダイジェスト
経済の成長と個人の成長
日本経済では、日々刻々、さまざまな人たちによってさまざまな生産活動が繰り広げられている。日本経済で繰り広げられている広義の生産活動から1年間に生み出された価値の総量は、「国内総生産(GDP)」と呼ばれている。2011年のGDP(正確には「名目GDP」)は468兆2576億円だ。
これを日本の人口で割ると、日本経済で2011年に活動している人たちは、平均1人当たり366.4万円を稼いでいることになる。1人当たりGDPは、1980年代末まで急激に上昇し、その後は、横ばいか若干低下気味で推移してきた。
1990年代に入って伸び悩んだ1人当たり名目GDPの動向は、週休2日制の導入で平均的な労働時間が短縮したことを反映していた。しかし、2000年代に入ると、一生懸命に働いて生産を増やしたのにもかかわらず、給与が労働の成果に見合ってあまり増えなくなった。
物価が全般的に低くなったとともに、日本の輸出製品が厳しい国際競争で採算割れを起こし、