『逆境を越えてゆく者へ』
(新渡戸稲造/著)

 

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次(主要)

新渡戸稲造氏の名著『修養』『自警』から「人生の逆境」に立ち向かうための心構えを抄録し、平易な日本語にして新たに出版された一冊。100年以上に渡り読み継がれ、特に激動の時代であった明治・大正・昭和を生きた新渡戸氏のメッセージは、先の見えない時代と言われて久しい現代人の心を動かすものである。

新渡戸氏は逆境こそが人間を磨きあげ、逃げるのではなく「善用」することでそれを乗り越えてゆくことが重要だと説く。全編にわたり、豊かな人間観に裏付けられた不変的な思想が展開されている。現在「逆境」といえる状況の方はもちろん、「順境」にある方にも戒めとなる言葉も多く、ぜひご一読頂きたい内容となっている。


著者:新渡戸稲造(にとべ いなぞう)
1862年(文久2年)盛岡に生まれる。明治8年(1875年)東京英語学校に入学、その後農学を修めるため1877年(明治10年)札幌農学校に二期生として入学、1881年(明治14年)同校卒業。在学中に洗礼を受け、キリスト者となる。開拓使などを経て、1883年(明治16年)東京大学に入学するも翌年退学し、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学、さらにドイツで学ぶ。1891年(明治24年)帰国し、札幌農学校教授に就任。1901年(明治34年)台湾総督府技師に任ぜられる。明治39年(1906年)より7年間、第一高等学校校長の職を務め、東京帝国大学教授も兼任。1918年(大正7年)東京女子大学初代学長。1920年(大正9年)国際連盟事務局次長。1928年(昭和3年)女子経済専門学校初代校長。1933年(昭和8年)カナダで開かれた太平洋会議に出席後、同国にて病没。国際平和に尽くし、青少年の教育に情熱を注いだ生涯であった。『修養』『自警』のほか、『武士道』『世渡りの道』『一日一言』『西洋の事情と思想』など多くの著作を持ち、今なお多くの読者に影響を与えている。

出版: 実業之日本社


第1章 逆境を越えてゆく者へ
第2章 人生の危機は順境で起こる
第3章 決心を継続していくということ
第4章 四つの力を貯蓄する
第5章 臆病を克服する工夫
第6章 人生の決勝点
推薦者コメント
税所 篤快< e-Education project 共同代表 >
途上国における子ども達に、映像を用いた教育支援を行うプロジェクトを発足。2014年、世界銀行におけるイノベーションチャレンジにて最優秀賞に選出。東洋経済オンライン「新世代リーダー50人」選出。(>>推薦書籍一覧

 人生の災難苦難は「男の乳首」のようなもの!と刺激的な激励を送ってくれるのは岩手県花巻出身、近代日本が誇る国際人、新渡戸稲造さんです。きっといまの緒方貞子さん的な生きる伝説だったのでしょう。冒頭の「乳首」発言は僕も読んでいて大変驚いたのですが、人生の艱難辛苦に関する記述です。

『辛苦は人生につきもので誰も逃れることはできないと思えば、これを善用することが可能である。これは男についている乳首のようなものだ。男の乳首はまったく無用のようで、その存在理由は学問的なにもまだ明瞭ではないが、それと同じように、我々はなんでこんなつらい目にあうのだろうと思いその理由を理解することができなくても、そこに何かの氏名が含まれているのだと信じれば、辛苦に耐え忍ぶ力を育てることができる。』

著書で男子の乳首を例にとる大胆さも、新渡戸先生の隠された魅力なのかもしれません。

推奨読者:
人生の逆境を感じている20代~30代の皆様(税所 篤快)

Check Point

  • 人生には必ず逆境がある。その原因は自らつくりだすことが圧倒的に多く、ほとんどは責任転嫁や欲望に限りがないことから起こる
  • 逆境にあると人は「ヤケを起こす」「他人を羨む」「他人を怨む」などの悪癖に陥りやすいが、全力で努力すれば人は必ず浮かび上がる
  • 人生の危機は実は順境で起きる。傲慢になる、恩を忘れる、不平を言うなどの悪癖が顔を出すことで、また逆境へと戻ってしまうのだ

要約ダイジェスト

逆境を越えてゆく者へ

そもそも逆境とは何か

世の中をうまく渡り、順風満帆、得意の絶頂にある人を見ると、多くの人はその幸福を羨むが、当人にしてみれば案外、外からは分からない辛さ苦しさがあったりする。例えば、世に名をなした人の内幕をのぞいてみると、「高い木は風当たりが強い」という諺のように嫉妬の声があちこちから聞こえ、することなすこと非難され、引き倒されそうになる。

このような世の中をうるさく感じ、一生を平穏に過ごそうとすれば、世間から離れた山の中にでも住むほかはない。せっかくこの世に生まれて来たのだから何かしたいと思えば、必ず意のままにならないことが起こるものだ。逆境というのは多くの場合これを意味する。そうであるなら、逆境は世の中のすべての人が逃れられないものということになる。

得意の絶頂にある人にも大統領の地位にある人にも、必ず自分の思いどおりにならないことがある。この自分の思いどおりにならないことには二種類がある。つまり天の授けるものと自分がつくり出すものである。前者は運命と称され、後者は自業自得と言われる。

二種類の禍いのうち人生でどちらが多いかと言えば、自らつくり出すものの方がはるかに多い。ただ人は普通、なぜ逆境に

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