- 本書の概要
- 著者プロフィール
船井総合研究所の経営コンサルタントとして長く活躍してきた著者によれば、継続して成長する会社は、社長を支える立場の取締役がしっかり機能している。そして取締役にはそういった「戦略策定」および「戦略実行管理」両方に責任を持つ難しい立場である。
それゆえ本書では会社法上の義務や責任については最低限にとどめ、仕事の原理原則や具体的実務への対処法が説かれている。現役の社長を含む経営陣にはもちろん直接役に立つ内容だが、現在管理職で、さらに視座をあげたい方にとっても、経営陣がどのように仕事を進め、何に悩んでいるのかを知るために有用な一冊である。
著者:柳楽仁史(なぎら ひとし)
株式会社船井総研ホールディングス執行役員CSR・IR室担当。株式会社船井総研コーポレートリレーションズ代表取締役。兵庫県出身。関西学院大学商学部卒業。1992年船井総合研究所に入社。株式会社船井情報システムズ代表取締役常務、株式会社船井総合研究所経営統括室副室長、同執行役員社長室長などを経て、現職。内部マネジメント業務の責任者を歴任する傍ら、経営コンサルタント業務にも従事、幹部社員教育や社員の自発性を誘発する自活組織づくり、新規事業の開発と展開などに数多く携わる。主に年商10億~100億円の中堅企業を得意とし、不動産賃貸管理業に多くの支援先を持つ。
主な著作に『デキる社員は社長を使う!幹部社員のための社長の「使い方」と「仕え方」」『フナイコンサルティングマニュアル』(編集責任者)『不動産会社はワインを売れ!今すぐ客単価を伸ばせる新発想』『ストーリーでわかる部下のポテンシャルを120%発揮させる「やる気」のルール(以上総合法令出版)などがある。
出版:総合法令出版
第2章 組織論からみた取締役の役割
第3章 法律論からみた取締役の役割
第4章 取締役を待ち受ける「落とし穴」と「巧妙な罠」
第5章 こんなとき、取締役はどうすべきか
第6章 トップと取締役の人間関係学
第7章 デキる取締役の共通要素
Check Point
- 取締役就任をゴールだと考えてはならない。取締役と会社の関係は、労働法による保護が適用されない厳しいものだ。しかしリスクや重責を受け止める一方で、「こんな会社にしたい」といった理想があれば、大きなやりがいが伴うだろう。
- 取締役の役割は、「参謀」でありながら戦略の実行にまで責任を持つ難しいものであり、それゆえ、リーダーシップを発揮しながら優れた「実行部隊」を育てることが重要な仕事である。
- 社長と取締役間の疑心暗鬼の気持ちは、経営の最大の敵だ。コミュニケーション、共通のビジョン・目的・目標、感謝と相互承認が信頼関係の要諦となる。
要約ダイジェスト
取締役とは何か?
「取締役就任=ゴール」と考えてはいけない
取締役は勤め人としては最高の到達点である。しかし、取締役就任をゴールだと考えてはならない。取締役は部長や課長などの一般管理職とは大きな違いがある。第一に、「会社との契約形態」の違いである。
取締役と会社との関係は「委任契約」であり、雇用関係は存在しない。取締役に就任した時点で、従業員としてはその会社を退職した扱いになる。会社と取締役の間に交わされる委任契約とは「一般人では対処できない専門的な事柄を専門家に依頼する契約」だ。
委任契約が雇用契約と最も異なる点は、「相互解除の自由」にある。委任契約に基づく会社と取締役の関係は、雇用側と被雇用側(労働者)のそれとは異なり、労働法による保護は適用されない。
また、取締役には結果責任がある。もちろん部長や課長にも降格や左遷があるが、取締役は解任されたらおしまいだ。しかも、