- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者はリベラルアーツ研究家であり、かつては京都大学でベンチャーや国際人の人材育成に従事。自立心旺盛な本物の教養と、説得力のある英語による発言力が、今後世界で活躍する若者には必須であるとして、精力的に講演著作活動を行う。
1955年、大阪府生まれ。リベラルアーツ研究家、博士(工学)。京都大学工学部卒業、同大学大学院工学研究科修了、徳島大学工学研究科後期博士課程修了。京都大学大学院在学中、ドイツ・ミュンヘン工科大学に短期留学。1980年、住友重機械工業入社後、アメリカ・カーネギーメロン大学工学研究科に留学。帰国後、システム開発、ソフトウェア開発事業などに従事。2000年に独立し、ITベンチャーの顧問などを歴任。その後、カーネギーメロン大学日本校プログラムディレクター、京都大学産官学連携本部・准教授を務める。
序章 資治通鑑とはどういう本か?
第1章 残酷を極める中国人
第2章 中国人のド派手な贅沢・桁はずれの蓄財
第3章 陰険な中国人の策略

日本生命保険相互会社にてロンドン現地法人社長、国際業務部長等を歴任後、ライフネット生命保険株式会社を設立。2012年に東証マザーズへ上場。2013年より、同社代表取締役会長兼CEOに就任。(>>推薦書籍一覧)
隣国である中国との関係は、とてもデリケートで難しい問題だ。ただ、確実に言えることは、中国の実態を良く知ることが重要だということだ。なぜなら、知らない相手と上手く交渉することは誰にも出来ない相談だからである。相手の実態を知るためには、歴史から入るのが一番だ。
中国の史書には、紀伝体(史記など)と編年体(資治通鑑など)という二つのスタイルがあるが、史記は人口に膾炙しているのに、資治通鑑は名前のみ有名でほとんど読まれてこなかった。適切な著作がなかったことがその原因だが、本書は、大著「資治通鑑」のまたとない入門書である。
これを読めば、中国という巨像のいくばくかが理解できよう。著者は、資治通鑑に描かれた「善人も悪人もけた外れの国、中国」を紹介したかったのだろうが、タイトルは反中・嫌中ブームに乗った感が強い。このタイトル故に読まれなかったとしたら、とても残念だ。内容は良書なのだから。(出口治明)
Check Point
- 「資治通鑑」はBC.500からの1500年間、登場人物約1万人という歴史書で、古代中国の善・悪のパターンが全て網羅されているといっても過言ではない。
- 古代中国では平和になると権力者が空前絶後の贅沢を競い、財政難と外敵の侵入で滅びるパターンが繰り返された。
- 権力闘争も「面子を守るためには不正不義も断行する」「義を貫くためには汚い手段も辞さない」という熾烈を極めるものだった。
要約ダイジェスト
「資治通鑑」とはどのような本か?
資治通鑑はざっくり言えば紀元前500年から紀元後1000年の約1500年間をカバーする中国の歴史書である。北宋の政治家・学者だった司馬光がリーダーとなり、数十人で20年近くかけて編纂された。字数は史記の6倍、登場人物は(推定)1万人という大著で、現代語の全訳はいまだ一度たりとも出版されていない。
現状では抄訳の資治通鑑を読むしかないが、これらはあまりにも断片すぎる上に、資治通鑑からおぞましい部分をカットして日本人の感性にフィットする倫理・道徳の教訓的な部分を中心に編集したため、とても資治通鑑のもつ凄さは伝わらない。
十八史略と資治通鑑を読み比べるとその差は歴然としている。十八史略は帝王と政治体制の変遷を中心とした記述であるのに対し、