『就活「後ろ倒し」の衝撃: 「リクナビ」登場以来、最大の変化が始まった』(曽和利光/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 主要目次
 企業にとって、「採用」の成否は将来の競争力に直結する重要事項のひとつである。2013年9月、新卒採用(学生にとっては就職活動)の現場では、2016年入社(2014年度の大学3年生)から、採用広報が3カ月、採用選考が4カ月後ろ倒しされるという政策変更が衝撃をもって受け入れられた。

 本書ではこの「就活後ろ倒し」が学生・企業にどのような影響を及ぼすか、そしてこの構造変化にどう対処すべきかを、約20年にわたり新卒採用に携わってきた人事・採用のプロフェッショナルである著者が詳細に解説する。

 著者によれば、就活後ろ倒しはほとんどの学生、そして日本企業の大部分である中堅・中小・地方企業に大きな不利益をもたらす。本書ではその制度的是非ももちろん問いながら、その上で、採用力に劣る企業が、現実的にこの問題にいかに対処し、優秀な人材を採用するかという実践的な手法までが説かれている。

著者:曽和利光
 株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。近著に『「できる人事」と「ダメ人事」の習慣』(アスカビジネス)、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社、共著)、採用実務DVD『人事採用「方法序説」』がある。
1 就活後ろ倒しが生む、2つの大変化
2 就活後ろ倒しは、学生に何をもたらすか
3 就活後ろ倒しは、企業に何をもたらすか
4 就活後ろ倒しの目的は何だったのか

Check Point

  • 経団連発表による「採用後ろ倒し」は、選考期間の圧倒的不足や、外資・メガベンチャーによる優秀な学生の囲い込みを誘発するなど多くの問題がある。
  • 多くの企業ではリクルーター、インターンシップなど水面下の採用活動が活発化すると予想され、これにより後ろ倒しの本来の目的(学業の優先)に悪影響を及ぼす。
  • 採用ブランドカに劣る企業は、地方大生、留年・既卒学生など、視点を変えた採用活動をおこなうべきである。これは採用のレベルを下げるのではなく、人気企業が合理的理由もなく避けている層を狙うものだ。

要約ダイジェスト

就活後ろ倒しが生む、2つの大変化

 2013年9月、日本経済団体連合会(経団連)は安倍政権からの要請を受ける形で、企業の就職・採用活動のルールを定めた「倫理憲章」を「指針」と改め、その中で大学新卒者の就職活動解禁時期を繰り下げることを発表した。

 これまでは、12月に企業が採用広報を開始するとともに、翌々年に卒業を控えた大学3年生(または修士1年生)が、リクナビなどの就活支援サイトに登録を始め、翌年の4月から採用選考が始まっていたが、今回の決定により、採用広報は3カ月遅くなって3月から、また採用選考も4カ月遅くなって8月からとなる。

 この変更は、当事者である企業の採用担当者や学生にとっては、大きなインパクトをもった一大事である。なぜなら、就職・採用活動の開始時期が後ろ倒しになる一方、正式内定の時期は現行と同じ10月のままとなる見込みで、実質的な就職・採用活動の期間が、これまでの6カ月(4~9月)から2カ月(8~9月)に、大幅に短縮されるからだ。

 多くの企業の採用活動では、五月雨式に1カ月くらいで1次面接を実施し、数次の面接を経ての最終面接(多くの場合、スケジュール調整が一層難しい役員面接)でも最低1~2カ月はかかる。また、内定辞退時の追加内定などで、最終的な内定者決定までには、選考開始から3~4カ月の時間が過ぎてしまう。2カ月では圧倒的に時間が足りないのだ。

 また、就活後ろ倒しは、あくまで経団連ほか、経済団体が決めたルールであり、ベンチャー企業や外資系企業など、これらの団体に所属していない企業には拘束力がない。そのため、これらの企業の多くが、経団連ルールより早い段階で、学生を確保するだろうと予想されている。

 このような企業に優秀な学生を根こそぎ

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