- 本書の概要
- 著者プロフィール
いまや世界規模で展開するコーヒーチェーン、スターバックス。本書の著者でありスターバックスの会長兼最高経営責任者(CEO)のハワード・シュルツ氏は1982年に給料の良い一流企業をやめ、5店舗を構えるシアトルの小さなコーヒー小売会社、スターバックスに転職した。
そして1987年にスターバックスの最高経営責任者(CEO)に就任すると、6店舗、従業員100人以下という地方企業から全国規模の大企業に育て上げる。本書では著者の生い立ちからスターバックスとの出会い、そして今日の成功までの歩みが詳細に綴られる。
単なる一企業の成長の記録にとどまらず、こだわりと柔軟性のバランスなど、ビジネスパーソンにとって教訓となるエピソードも多い。「起業」や人生の「夢」を追求する方には必読の一冊。
著者:ハワード・シュルツ
ニューヨーク市ブルックリンに生まれる。1982年にスターバックスに入社し、1987年から同社の会長兼最高経営責任者(CEO)を務める。
著者:ドリー・ジョーンズ・ヤング
訳者:小幡照雄、大川修二
―1987年以前
第2章 新しいコーヒー文化を目指して
―株式公開以前(1987―1992)
第3章 起業家精神の見直し
―株式公開以降(1992―1997)

株式会社アトラス、株式会社イオンフォレストでの経営職を歴任後、2009年、スターバックスコーヒージャパンの代表取締役CEOに就任。退任後、株式会社リーダーシップコンサルティングを設立、代表を務める。(>>推薦書籍一覧)
原題は”Pour Your Heart Into It”。最初せっかくの原題の「心を込めて」というニュアンスがないので、日本語の題名は良くないと思っていたが、内容はまさしく「スターバックス成功物語」である。著者でありCEOのハワード・シュルツと会食した際、「私が感銘を受けた所は、あなたが素直に自分の過ちを認めて書いているところ」と伝えると、少し怪訝そうな顔をしていたのが記憶に残っている。
コーヒービジネスを携わるものだけではなく、これから会社を大きくしようと考えている起業家に強くお薦めできる、読んで損のないサクセスストーリーである。(岩田松雄)
要約ダイジェスト
スターバックスの原点
今日のスターバックスの原点は二つある。一つは1971年に創立された最初のスターバックス社である。最高級のコーヒーに情熱を注ぎ、一人ひとりの顧客に良質のコーヒーとはどういうものか啓蒙することに専念する会社だった。
もう一つは私がスターバックスに持ち込んだビジョンと価値観である。それは負けじ魂と全社員が共に勝利者となることを目指す断固たる決意にほかならない。私はコーヒーに自分の夢をかけ、不可能と思えることに挑戦し、斬新なアイデアで障害を乗り越え、目標を達成したかったのだ。
実際、スターバックスが今日の繁栄を築くためには、この二つの原点が必要だった。スターバックスは、私が出合う10年も前から繁盛していたが、創立者にとって、コーヒーの品質がすべてだった。
どんな企業も、まず何を基盤にするかが問われる。スターバックスは単なる良質のコーヒーではなく、創立者が魅せられた深煎りコーヒーの風味を基盤にしたおかげで、ほかのコーヒー店とはひと味違う本物になれたのである。
当時と比べてスターバックスは大きく成長したが、今でもミッション・ステートメント(社訓)の第一に