- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書においては、「旅」という比喩でリーダーシップ獲得のプロセスが3段階で明快に説明され、リーダーシップとは私たち一人一人が自分の生き方、生き様を問うことだと説く。特に重要な点は、リーダーを目指してリーダーになった人はいないということだ。他の人にはまだ「見えないもの」を見て第一歩を踏み出し、行動する中で確信と賛同者を得る。そして、「結果として」人はリーダーになるのである。
次世代リーダー育成やリーダーシップ研究の第一人者である野田智義/金井壽宏両氏の共著ならではの、幅広い企業事例や知見を通して、真のリーダーシップ在り方が平易に説かれた本書からは、ビジネスや組織、そして社会を活性化させるヒントをも得られるはずだ。リーダーシップは一部の人間だけのものという視野狭窄から解放し、すべての人に内在する可能性に気づかせてくれる良書である。
1959年京都生まれ。NPO法人アイ・エス・エル(ISL)理事長。東京大学法学部卒業後、日本興業銀行勤務、ロンドン大学・INSEAD経営大学院(フランス)助教授を経て、ISLを創設。数百人の支援者とともに、次世代リーダー輩出に取り組む。MIT経営学修士、ハーバード大学経営学博士。INSEADでは、最優秀教授賞を3年連続受賞
著者:金井 壽宏
1954年神戸生まれ。京都大学教育学部卒業、神戸大学博士課程前期課程修了後、MIT経営大学院博士課程修了。神戸大学大学院経営学研究科教授として、経営管理と組織行動の科目を担当
第1章 リーダーシップの旅
第2章 なぜリーダーシップが必要なのか
第3章 旅の一歩を阻むもの
第4章 旅で磨かれる力
第5章 返礼の旅

1997年、通商産業省(現・経済産業省)入省。2001年にハーバード大行政大学院において修士号を取得。2003年に「新しい霞ヶ関を創る若手の会(プロジェクトK)」を立ち上げ、代表に就任。2010年より現職。(>>推薦書籍一覧)
かねてから不思議に思っていることがある。それは、現代日本には、リーダーシップに関する本が数多く存在するのに、例えばそれらの本がなかった幕末維新期に、どうして今よりも偉大なリーダーたちが多数輩出された(ように感じる)のか、という点である。
ある意味、リーダーシップ関連本の全否定のような言説だが、しかし、少なくとも私の周りでは首肯する人が多い見解だ。完全な私見だが、本書は、この問いに対する探求がメインテーマである。すなわち、「一歩踏み出す狂気(侠気?)はどこから来るのか」という点について、リーダーシップに関する諸理論も援用しつつ、様々な角度から核心に迫っている。
冷静な分析という衣をまといながらも、特に、野田智義氏の記述部分に如実だが、火傷しそうなくらいに熱い情熱が中核をなしている一冊であると言えよう。文学作品や映画作品の引用の多さがそのことを如実に語っている。頭脳や経験には多少の自信を感じつつも、一歩踏み出せずにいる中堅・若手の方々にお勧めの作品である。(朝比奈一郎)
要約ダイジェスト
リーダーシップの旅
リーダーシップに関する様々な誤解と悲劇の原点は、「すごいリーダー幻想」にある。幻想が私たちを不必要に戸惑わせるのは、それが「後付け」に彩られているからだ。「すごいリーダーシップ」という概念は、