『努力する人間になってはいけない』
(芦田宏直/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 哲学者であり、数々の教育現場や文部科学省などの委員を歴任した教育の専門家でもある著者の芦田宏直氏が、「本当に成長する」ことの意味を説く一冊。その内容はユニークで、教育論であり、哲学書、そしてエッセイとも言うことができる。

 著者は「努力してはいけない」「自立してはいけない」など、一見逆説的なテーマを示すことで、読者に日本社会や教育、そしてビジネスへの新たな視点を提供する。また、ふとした日常からの心和む話や、思わずホロリとする短編小説のようなエッセイもあり、後半では哲学者としての目線から 現代の IT社会を考察しつつ、ヘーゲル、ハイデガーから吉本隆明まで語り尽くす内容となっている。

著者:芦田 宏直(アシダ ヒロナオ)
 1954年京都府生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学(哲学、現代思想専攻)。学校法人小山学園理事・東京工科専門学校(現東京工科自動車大学校)校長、東海大学教授を経て、現在、人間環境大学・副学長(岡崎学園理事)、河原学園・副学園長、辻調理師専門学校グループ顧問、上田安子服飾専門学校顧問。
 2000年度労働省「IT化に対応した職業能力開発研究会」委員、2003年度経済産業省「産業界から見た大学の人材育成評価に関する調査研究」委員、2004~2007年度文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム」審査部会委員、2008年度文部科学省「質の高い大学教育推進プログラム」審査部会委員などを歴任。
第1章 努力する人間になってはいけない―― これから社会人になるあなたたちへ
第2章 掛け算の思考 割り算の思考―― これから勉強を始めるあなたたちへ
第3章 就職活動への檄20箇条―― 大きな企業が有利な本当の理由
第4章「読書」とは何か―― 本を読める人はわからないことを恐れない人
第5章 家族は「社会の基本単位」ではない―― 家族の社会性と反社会性について
第6章 なぜ、人を殺してはいけないのか ―― 愛の自由と出生の受動性
第7章 学校教育の意味とは何か―― 中曽根臨教審思想から遠く離れて(個性・自主性教育はいかに間違ったのか)
第8章キャリア教育の諸問題について―― 学校教育におけるキャリア教育とは何か(ハイパー・メリトクラシー教育批判)
第9章ツイッター微分論―― 機能主義批判と新人論と
第10章 追悼・吉本隆明―― 機能主義批判としての言語の〈像〉概念
あとがきにかえて ―― キャリア教育と高等教育のグランドデザインについて
推薦者コメント
ryusuke koyama小山龍介< 株式会社ブルームコンセプト 代表取締役>
米国にてMBAを取得後、2010年、株式会社ブルームコンセプトを設立。新商品・新規事業コンサルティング、ワークショップを行う。『ビジネスモデル・ジェネレーション』(訳)、“IDEA HACKS!”等ハックシリーズなど著書多数。(>>推薦書籍一覧

 知識でもなく地頭でもない。必要なのは、ほんとうの知性だ。哲学者である芦田宏直氏の膨大なストックに裏付けされた考察は、タイトルにもあるように、一見非常識だ。
 しかしだからこそ、私たちの浅はかな思考を鮮やかに覆してくれる。なかでも『ツイッター微分論』は、ネット社会における表現について考えさせられる。

推奨読者:
さまざまな意味で世の中に「デビュー」したいと思う人がいれば、本書で言うところのストックの意味を理解しておくべきだと思う。この本の副題にある「新人」とは、その存在を新しく見出される人のことであり、その発見がどのような原理に基づいているのかが分かる。その意味で、本書は凡百の自己啓発書にまさる効果がある。(小山龍介)

要約ダイジェスト

努力する人間になってはいけない

「努力する人間になってはいけない」とは刺激的なタイトルではないだろうか。その真意とは「努力主義」の否定にある。著者によれば、人材は以下の四つのパターンに分けられる。

  1. 怠け者だけれども目標を達成する人
  2. がんばり屋で目標を達成する人
  3. がんばり屋で目標を達成できない人
  4. 怠け者で目標を達成できない人

 この四つの人材の中で、もっとも有害な人材は、実は三番目の「がんばり屋で目標を達成できない人」である。組織の中では、いくらまじめで努力をする人でも、

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