- 本書の概要
- 著者プロフィール
大蔵省出身で数多くのベストセラーを誇る日本を代表する経済学者・野口悠紀雄氏による、日本経済復活のための提案書。野口氏は、日本経済が長い停滞に陥ったのは、世界経済が大きく変化したことを認識せず、それに対応できていないためだと指摘する。
本書で提言される解決策には、日本社会を大きく変えることが必要とされる。それには犠牲も伴うが、日本経済をとりまく世界的な情勢を鑑みると、野口氏の言は傾聴せざるをえない。経済ひいては日本全体を復活させるには、何が必要で、どう実現すべきなのか。本書からはそのヒントがみつかるはずだ。
著者:野口 悠紀雄(ノグチユキオ)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。
出版社:講談社
序章 始まりは80年代
第1章 経済思想が大転換した
第2章 IT革命と市場型経済の復活
第3章 中国が工業化に成功した
第4章 取り残された日本は円安のぬるま湯に
第5章 100年に一度の金融危機
第6章 リーマンショック後の世界
第7章 日本経済が抱える深刻な問題
第8章 アベノミクスは答にならない
第9章 日本の成長に本当に必要なこと
Check Point
- 日本経済の長期的な停滞は、1980年代以降に起きた「市場経済モデルの復活」と「新興国の工業化」という世界経済の大きな変化に対応できていないためである。
- 日本経済の復活のカギを握るのは、製造業の復権ではなく、金融など生産性の高いサービス産業を発展させることと、国内人口構造の変化に伴う高齢者の需要開拓である。
- 高度サービス産業を担う人材育成と、それを支える高等教育、さらに海外の専門人材の活用はもっとも重要な戦略であるが、実現が困難な戦略でもある。しかし、こうした戦略を採用できるか否かに、日本の将来がかかっている。
要約ダイジェスト
大きく変わった世界経済
中央集権的な日本経済はITに不利
戦後、稀にみる経済成長をとげた日本は、バブル崩壊後、長期的な停滞に陥った。ここから抜けだせないのは、1980年代以降に起きた「市場経済モデルの復活」と「新興国の工業化」という世界経済の大きな変化に対応できていないためである。
しかし日本では、「世界が大きく変化した」との認識がなく、現状が正確に理解されていない。そのため、金融緩和という“小手先の微調整”がとられ、失敗に終わっているのだ。
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