『ビジョナリーカンパニー2―飛躍の法則』
(ジム・コリンズ/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次(主要)
 あるとき著者は、時代を超えて永続する企業を研究した前著『ビジョナリー・カンパニー』に出てくる企業の成功は、類いまれな創業者のお陰ではないかと言われた。つまり「ビジョナリー」な創業者に恵まれなかった企業は、「良い(Good)」企業になれても、永久に「偉大(Great)」な企業にはなれないのではないかという指摘である。

 そこで著者は、数百社のなかから、創業後しばらく平均的な結果を残し、その後何らかのきっかけで、市場平均を長期間大幅に上回る実績を残す企業へと飛躍した例を抽出。本書で他の企業との違いをもたらした彼らの共通点を明らかにする。

 本書で取り上げられるのは、ファニーメイ(連邦抵当金庫)やウォルグリーンズ(ドラッグストア)など一見地味な企業である。しかし、彼らは、GEやコカ・コーラを上回る実績をあげ続けており、それは、トップの高潔なリーダーシップや採用方針、企業文化、シンプルな戦略など6つの要素からもたらされたという。

 そしてその根底には「良好(Good)は偉大(Great)の最大の敵である」という信念がある。5年に及ぶ調査と多くの事例が凝縮された本書は、創業期のベンチャーから、中小企業、転換期を迎える大企業などあらゆる組織のリーダー層に必読の内容であり、一読すれば「名著」と言われる理由がわかるはずだ。ぜひ手に取っていただきたい。

著者:ジム・コリンズ(Jim Collins)
 全米で5年間にわたるベストセラーになり、100万部以上が売れた名著『ビジョナリーカンパニー』の共著者。スタンフォード大学経営学大学院教授を経て、現在はコロラド州ボールダーで経営研究所を主宰。企業と非営利団体の指導者に助言するコンサルタントとして活躍している。

著者:山岡 洋一(ヤマオカ ヨウイチ)
 翻訳家。1949年生まれ。主な訳書に『市場対国家』(日本経済新聞社〉、『ターボ資本主義』(TBSブリタニカ)、『ビジョナリーカンパニー』『ビッグディール』『老年時代』『バブルの歴史』(以上日経BP社)がある。

第1章 時代を超えた成功の法則 良好は偉大の敵
第2章 野心は会社のために 第五水準のリーダーシップ
第3章 だれをバスに乗せるか 最初に人を選び、その後に目標を選ぶ
第4章 最後にはかならず勝つ 厳しい現実を直視する
第5章 単純明快な戦略 針鼠の概念
第6章 人ではなく、システムを管理する 規律の文化
第7章 新技術にふりまわされない 促進剤としての技術
第8章 劇的な転換はゆっくり進む 弾み車と悪循環
第9章 ビジョナリー・カンパニーへの道
推薦者コメント
matsuo iwata岩田松雄<株式会社リーダーシップ コンサルティング 代表取締役社長>
株式会社アトラス、株式会社イオンフォレストでの経営職を歴任後、2009年、スターバックスコーヒージャパンの代表取締役CEOに就任。退任後、株式会社リーダーシップコンサルティングを設立、代表を務める。(>>推薦書籍一覧

 私が経営者として最も影響を受けた経営バイブル。もう 10回以上読み返しているが毎回目から鱗が落ちる。『ビジョナリーカンパニー 1』を含めて一般的に信じられている経営の常識と違った結論を導き出している。私は本書に書かれている偉大な企業を作る方法が、偉大な人を作る方法に置き換えられるのではないかと考える。

 この本の結論はドラッカーの著作と共通点が多い。若い頃に読んでも、ピンと来ないかもしれないが、実際経営に近い立場になると理解できる。経営者はもちろん投資家、実務者、公共機関、NPOなどあらゆる組織のリーダーが読むべき本。ビジネスパーソン必読書。(岩田松雄)

Check Point
偉大な企業へ飛躍を遂げた企業は以下のような特徴を持っている。

  • 単純明快な3つの円(1:自社が世界一になれる部分はどこか、2:経済的原動力になるのは何か、3:情熱をもって取り組めるのは何か)すべてを満たす戦略を活動の指針とする。
  • 大きな野望を胸に秘めながらも、その野望が自身のためではなく、組織や社会に向けられている「第五水準のリーダー」を迎える。
  • 「何をするか」よりも先に「誰とするか」に注力し、人集めを行う。

要約ダイジェスト

飛躍した偉大な企業たち

「良い企業は偉大な企業になれるのか。そして、どうすれば偉大な企業になれるのか」。その疑問への回答を導くため、著者らは組織したチームで5年に渡る調査を行った。そしてフォーチュン誌のアメリカ大企業 500社の中から、11社の長期的に飛躍した企業を見つけ出した。

 そのリストをみて調査チームは驚いた。ファニーメイ(連邦抵当金庫)やウォルグリーンズなど、

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