『センスは知識からはじまる』
(水野学/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 NTTドコモ「iD」や「くまモン」などを手がけたクリエイティブディレクターであり、慶應義塾大学の環境情報学部で特別招聘准教授として教鞭もとる水野学氏が、「センス」についてあますところなく語った一冊。生まれついてのものと考えられがちな「センス」ですが、身体能力と同じで、実は誰にでも、いくらでも身につけられると著者は言います。

 そのために重要なのは、意外に思えるかもしれませんが、「知識を蓄えること」。著者は18世紀イギリスの「アーツ・アンド・クラフト運動」から、丸の内の商業施設「KITTE」まで、さまざまな事象を通し、「アイデアとは、生まれながらのセンスによるとんでもないひらめきから誕生する」という誤解を丁寧に解きほぐしていきます。

 デザインやアート的な観点だけでなく、「売れるデザイン」を突き詰めて考えることで、商業的にも優れた成功を収めている著者ならではの好著です。


著者:水野 学
 クリエイティブディレクター。good design company 代表取締役。慶應義塾大学特別招聘准教授。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、1998年にgood design company設立。美しいだけでなく「本当に売れるデザイン」に重点を置き、ブランドづくりの根本からロゴ、商品企画、パッケージ、インテリアデザイン、コンサルティングまで、トータルにディレクションを行う
 Prologue センスは生まれついてのものではない
Part1 センスとは何かを定義する
Part2 「センスのよさ」が、スキルとして求められている時代
Part3 「センス」とは 「知識」からはじまる
Part4 「センス」で、仕事を最適化する
Part5 「センス」を磨き、仕事力を向上させる
Epilogue 「センス」はすでに、あなたの中にある

要約ダイジェスト

「センス」とは、数値化できない事象を最適化すること

 「センスがよい/ 悪い」と、僕たちは何気なく口にする。身近なところでは、ファッションのセンスや、スポーツにもセンスが必要とされるように、「センスを生かす」分野は多岐にわたっている。

 もちろん、仕事にもセンスは必要である。経営を左右するのも、売り上げを左右するのもセンスなのだ。では、「センスのよさ」とはいったい何なのだろうか。

 「服のセンスがいい」といった場合、カッコいい/ 悪いとほぼ同じだと言える。「経営のセンスがいい」というのは、売り上げがいい/ 悪い、あるいは業績がいい/ 悪いといった数値で判断できるものではない。

 業績がよくても、たとえば、従業員や取引先を悲しい目に遭わせて利益だけ出していたら、センスがいい会社とは言えない。逆に業績はいまひとつでも、よい人材を育成し、強い企業をつくろうとしている社長なら、経営センスがいいかもしれない。

 業績や売り上げといった数値化できるものと異なり、「センスのいい会社」というのは、単純に数字では測れないのである。数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力、これが「センスのよさ」というものの定義である。

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