- 本書の概要
- 著者プロフィール
日本企業の99%を占める「中小企業経営者」の事業経営視点から、昨今話題となっている主要な経済ニュースについて、正しい捉え方とスタンスが解説された一冊。著者は立教大学経済学部で教鞭をとる、経済学者の山口義行氏。「金融・証券市場に軸足を置いた経済学を、実体経済の真の担い手(中小企業経営者)たちのもとに取リ戻したい」という想いから、中小企業を支援活動も続けている人物です。
著者はメディアの経済報道が、「大企業」視点からのものであり、より「中小企業経営者である自分たちはどう行動すべきか」という視点が必要であると説きます。例えば、ポジティブな評価がなされることが多い「法人税引き下げ」についても、中小企業の役にはたたず、設備投資などの活発化の観点でも疑問があることが指摘されています。なぜなら企業の7割は赤字で、利益が出たとしても税率が下がるなら内部留保に回されるインセンティブも強まるからです。
本書ではこのようになるほどと思わされるような多面的なものの見方が次々と提示されていきます。法人税減税、消費税増税、円安、金融緩和、デフレなど主要なトピックが網羅され、また経営に直接関連する内容としても資金需要、事業承継、成長戦略などについても解説されています。中小企業経営者の経営課題やものの見方に精通している著者ならではの切り口で「生きた経済学」が学べる一冊です
著者:山口義行(ヤマグチ ヨシユキ)
1951年、愛知県生まれ。立教大学経済学部教授(専門は金融論)。中小企業サポートネットワーク「スモールサン」主宰。経済学者として金融・経済に関する研究や政策提言を行う一方、スモールサン主宰として中小企業支援活動を続けている。『誰のための金融再生か』(ちくま新書)、『経済再生は「現場」から始まる』(中公新書)など著書多数。
出版社:KADOKAWA/中経出版
Chapter 1 入門! 社長の経済学―「経済ニュース」を信じてはいけない!
Chapter 2 社長が知りたい「デフレ」の経済学
Chapter 3 社長が知りたい「成長戦略」の経済学
Chapter 4 社長が知りたい「事業承継」の経済学
Chapter 5 社長が知りたい「海外進出」の経済学
Chapter 6 社長が知りたい「TPP」の経済学
Chapter 7 社長が知りたい「世界経済」の真実
Chapter 8 社長のための経済学思考――「多様性」と「変化」を知る
要約ダイジェスト
「経済ニュース」を信じてはいけない
「大企業」のためのニュースは中小企業に
新聞やテレビで報じられる経済ニュースの多くは、メディアの記者が「大企業に」取材し、「大企業のために」書いた情報である。しかし、日本企業の99.7%は中小企業だ。
「わずか0.3%のために発信されるニュース」にどれほどの価値があるのだろうか。つまり、経済ニュースは、ほとんどの経営者にとって役に立たないのだ。
「消費税増税で『割りを食う』のは中小企業。大企業はむしろトクをする」
「7割の企業はそもそも法人税を払ってない。税率を下げても仕方ない」
「大企業が潤えば中小企業も儲かる?『トリクルダウン』なんて大ウソ」
こんな「ごくあたりまえの話」を社長たちにすると、「えっ!そうだったんですか?」と大きな反響がある。
日本経済の「真の主役」であるはずの