- 本書の概要
- 著者プロフィール
なぜそうなってしまうのでしょか。著者は、ブランドの成否を左右する要素である、商品の「魅力」「選ばれやすさ」「満足度」の中で、これまでマーケティング業界は「選ばれやすさ」を磨く努力をしてこなかったからだと説いています。そこで「消費者にいかに商品を買ってもらうか」という根本的なテーマについて、世界で初めて「視線カメラ」「バーチャル店舗」「脳スキャニング」などを導入し、徹底的な調査分析を行い、その結果を多角的に解き明かしたのが本書です。
本書では、これまでマーケティング業界では常識とされてきた考えを覆すような、買い物客の意外な購買パターンの実態が描かれています。さらに、これらの分析結果に基づいた、より効果的な「これからのマーケティング戦略」の実践までが語られ、非常に内容の濃い一冊となっています。
著者:サイモン・スキャメル=カッツ(Siemon Scamell-Katz)
消費者行動、特に買い物客の行動分析において第一線で活躍する専門家。ローラアシュレイや衣料品店チェーンのネクストなどの現場経験を経て、買い物客の行動調査を手掛けるコンサルティング会社を設立。現在はTNSグローバルにてコンサルティング・ディレクターを務め、コカ・コーラ、ユニリーバ、P&G、ニュートロジーナ、クリスチャン・ディオールなど多数の世界的大手企業をクライアントに持っている。
翻訳者:黒輪篤嗣(くろわ あつし)
茨城県出身。上智大学文学部哲学科卒業。翻訳家。『ポール・スローンの思考力を鍛える30の習慣』(二見書房)、『あなたは最初の100日間に何をすべきか』(日本経済新聞出版社)など訳書多数。
出版:イースト・プレス
第1章 なぜ買い物客に注目するべきか
第2章 買い物客はどういう目的で店に来るか
第3章 ウィンドウディスプレイに効果はあるか
第4章 買い物客は店内でどのように目当ての商品を探すか
第5章 買い物客は店内で何を見ているか
第6章 買い物客はどのように商品を選ぶか――「カテゴリ」の影響について
第7章 買い物客はどのように商品を選ぶか――「習慣化」の影響について
第8章 買い物客はどのように商品を選ぶか――「感情や感覚」の影響について
第9章 ふだん買わないものを買うとき、買い物客はどのように選ぶか
第10章 買い物客はどのように商品を記憶するのか
第11章 これからの買い物はどうなるか
要約ダイジェスト
実際に商品を買うのは買い物客であって、消費者ではない
二十一世紀の小売りは、業者間のはげしい競争によってかなりの進化を遂げている。とりわけ大手の小売り業者は商品を最安値で仕入れ、効果的に商品を陳列する点で、ほぼ完壁なビジネスモデルやサプライチェーンを確立している。
しかし、棚に並べられた商品がどのように買い物客の目にとまり、検討され、買われているのかという問いは、なおざりにされている。小売り業界では、検証されていない説が信じられていることが多く、アンケート調査の結果も、あまり当てにならない。
そこで得られる回答は、店内での行動をあとから合理的に説明しようとしたものなので、しばしば実際の行動とずれているからだ。したがって、理論的な予測モデルよりは、実際の行動を観察するほうが重要となる。
また、広告はもともと消費者を対象にするものとして登場してきたが、