- 本書の概要
- 著者プロフィール
近年注目を浴びる「ストーリー思考」を、ビジネスシーンで実際に利用する方法が具体的に解説された一冊。「ストーリー思考」や「ストーリー・テリング」は、事業戦略やマーケティングの文脈で語られることはよくありますが、実際のビジネスシーンでの使い方を解説した本はあまり多くありません。
本書の特長は、部下への指示や顧客への商品説明・プレゼンテーションから、ビジョン共有まで、具体的に「ストーリー」をつくり、伝える方法が説明されている点です。ワークシートもついており、実際に手と頭を動かしながら読み進めることができると思います。著者は、説明や計画を、ロジックや数字でガチガチに固めるより、”ゆるさ”があるストーリーで伝えたほうが、人を動かしやすいと説きます。
これは、緻密なロジックを積み上げても、聞き手が感情移入や工夫する「余地」がない計画は、聞き手の自発性や想像力を刺激することができないことが背景にあります。このため周りからの協力がなかなか得られず、プロジェクトが難航するのです。本書ではこの考えに沿って、説得力あるストーリーをつくる「ストーリー思考の9つの原則」が解説され、商品説明、インストラクションなどのシーンごとのストーリーの作り方や実例が実践的に解説されています。
著者:生方 正也(ウブカタ・マサヤ)
東京大学文学部卒業。日産自動車にて、取引先部品メーカーの経営分析・指導を担当。ウイリアム・エム・マーサー(現マーサージャパン)にて、人事制度改革、組織変革等のコンサルティングに従事した後、グロービスを経て独立。現在は、人材開発、組織変革に関するコンサルティングに携わると同時に、思考力強化に関する分野の指導、著作活動を行っている。
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
CHAPTER1 ストーリーのゆるさを活かすのがストーリー思考
CHAPTER2 ストーリー思考の主役たち
CHAPTER3 ストーリーを作るための基本原則
CHAPTER4 必然的なストーリーを作るための思考原則
CHAPTER5 相手に伝わるストーリーにするための表現原則
CHAPTER6 印象づけ、理解を深める
CHAPTER7 イメージを共有する
CHAPTER8 やり方を伝える
要約ダイジェスト
「ゆるさ」を活かすストーリー思考
米国等で行われている講演イベント「TED」の登壇者に共通する卓越したコミュニケーション能力の秘訣のひとつに、戦略的にストーリーを活用しているということがある。
ビジネスにおいても、自己紹介や商品やサービスの紹介、また戦略や新たな企画を他人に伝える等、様々なコミュニケーションが発生している。その際にも戦略的にストーリーを活用することが役立つ。これを本書では「ストーリー思考」と呼ぶ。
これは身近な題材や経験をストーリーの構成に落とし込み、自分の考えを相手に伝え、実現に向けて進めていくための技術である。上司と部下、営業と顧客など、立場の違いを乗り越えて共通の理解や共感を得るために有効なのが、ストーリーの持つ「ゆるさ」だ。
例えば企画や提案、プロジェクトなどで、ストーリーが共感を生み出すのは、適度にゆるく設定された状況に対して、私たちが勝手にいろいろと補足して、イメージをふくらまし、ひとりでに共感