- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者はそのカギとなるのは徹底した「ローカライズ」であり、「現地化は『市場の要求』」であると語っています。本書ではホンダ、ヤマハ、セイコーエプソン、カシオ、キヤノン、参天製薬…など、実際にインドに進出し、「ローカライズ」により成功を収めている企業の豊富なケーススタディが取り上げられています。
また、「労使」「合弁」「法規制」などの実務課題をそぎ落とし、実行ベースでの「戦略」に特化した内容となっており、そのためマーケティングだけではなく、バリューチェーンの全体にわたり徹底的にインド市場や「戦略」が解説されているのが本書の特長でもあります。インドビジネスに関わる方や、海外トレンドの最新情報をインプットしたい方だけでなく、新興国市場や新製品開発にもヒントが得られる内容となっています。
著者:須貝 信一(スガイシンイチ)
1973年北海道生まれ。1997年法政大学文学部英文学科卒業。外資系IT企業、インド関連コンサルティング会社取締役を経て、2009年8月に株式会社ネクストマーケット・リサーチを設立、代表取締役就任。インドビジネスのリサーチ、コンサルティング、情報提供事業などを行う。経済産業大臣登録中小企業診断士。
出版:実業之日本社
第1章 インド進出環境と進出計画
第2章 インド市場と製品投入の戦略
第3章 インド市場と販売戦略
第4章 製品とブランド開発の失敗事例に学ぶ
第5章 生産と開発の現地化
終章 日系企業インド進出の展望
要約ダイジェスト
なぜインドでつくり、売るのに「現地化」が鍵なのか
インド市場を二つの言葉で表すとしたら、「多様性極まる複雑な社会」と「貧しさ」だ。インドのマーケティング専門家ラーマ・ビジャプルカール氏は、「多国籍企業はインドが『multi-tiered(物理的多層)』 かつ『multi-layered(論理的多層)』な市場であり、多面的戦略が必要であることを、認識して受け入れるべきだ」と述べている。
物理的に多層であることの例として、インドの流通の複雑さが挙げられる。例えば、電化製品では近代的家電小売チェーンの取り扱い量は限られ、ほとんどは「ディストリビューター」などを通じて最終的に各地の「小さな街の電気屋」で販売される。
論理的に多層であることの一例は、インドの消費者の独特の嗜好だ。彼らはよく「price-sensitive(価格に敏感)」と形容されるが、「value-sensitive(価値に敏感)」と言ったほうが正しい。
確かに「安くて良いもの」という値頃感は重要な要素であるが、