『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方』
(茂木健一郎/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 近年、コロナ禍やウクライナ侵攻など、非日常が日常化している感がある。こうした先の見えない時代に物事を正しく判断するには、情緒や同調圧力といった日本的思考様式を抜け出さなければならない。そこで本書では、イーロン・マスクやザッカーバーグ、ニュートン、アインシュタインなどの天才たちを脳科学的な観点で分析。

 そして、これからの時代を生き抜く、本当に頭がいい人が持つ4つの力を定義する。具体的には、①問題を正しく捉え解決する「情緒に流されない力」、②アップデートされ続ける正解にたどり着く「地図を読み換える力」、③理性に偏りすぎずに革新的な挑戦をする「アニマルスピリッツ」、④目に見えるものにとらわれない「妄想する力」だ。

 本書では具体的に4つの力を脳科学や認知科学の知見をもとに解き明かし、それらを手に入れるための方法を伝授、さらに脳を活性化させる思考実験なども収録している。著者は脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。論理や直観、革新的思考の両方を磨きたい方はぜひご一読いただきたい。

著者:茂木 健一郎(Mogi Kenichiro)
 1962年東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。脳科学者。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院客員教授。専門は脳科学、認知科学。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究する傍ら、文芸評論、美術評論にも取り組む。2005年、「脳と仮想」(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。2009年、「今、ここからすべての場所へ」(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。著書多数。
第1章 問題を正しくとらえて解決する「情緒に流されない力」
第2章 アップデートされ続ける正解にたどり着く「地図を読み換える力」
第3章 理性に偏りすぎずに革新的な挑戦をする「アニマルスピリッツ」
第4章 目に見えるものにとらわれない「妄想する力」

要約ダイジェスト

「本当に頭がいい人」が持つ4つの力

 日本では、多くの人と違うことを言ったり、違うように振る舞ったりすると批判され、「炎上」することもある。しかし、その日本の多くの人たちの行動、民意、世論といったものが合理的判断に基づき正しいわけではなく、多くの場合、情緒と同調圧力によってできている。

 直感としては正しい、感覚的には間違っていると思える、でも根拠はないから、とりあえず反対の意見を言う相手のことを攻める、叩く、批判する、そういうことが、いまの日本社会では増えているのだ。

 だが「本当の頭のよさ」があれば、フォローしている誰かの言葉を鵜呑みにするのではなく、なんとなく雰囲気に流されるのではなく、自分の考えに基づいて「これは正しい」「これは間違っている」などの判断ができるようになる。

 ただし、それは単に論理的ということではない。いわば、直感に従いながらも論理的でもある、直感と論理の両面から正しい答えを導き出せるということだ。「本当に頭がいい人」が持っている力をさらに因数分解すると、次の4つになる。

①問題を正しくとらえて解決する「情緒に流されない力」
②アップデートされ続ける正解にたどり着く「地図を読み換える力」
③理性に偏りすぎずに革新的な挑戦をする「アニマルスピリッッ」
④目に見えるものにとらわれない「妄想する力」

 これらは決して生まれながらの「才能」ではなく、この4つの力をうまく発揮する脳の使い方を学ぶ=上手に脳を使っている人たちを真似ることができれば、

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