- 本書の概要
- 著者プロフィール
そこで本書では「共感」「問題定義」「創造」「プロトタイプ」「テスト」というデザイン思考の5ステップを事例を交え具体的に解説。まだ市場が存在しないため、「市場分析」や「ロジカルシンキング」に代表される論理的アプローチでは生み出せない革新的アイデアやイノベーションの創出方法を明らかにしている。
著者は、ゴールドマン・サックスでの金利デリバティブトレーダーなどを経て VISITS Technologies社を設立。同社の開発する『デザイン思考テスト』は大手商社やコンサル会社の採用フローにも導入されている。「創造力」「アイデア力」を高めたい方、「顧客視点」を洗練させたい方にはぜひご一読いただきたい。
VISITS Technologies株式会社CEO/Founder。東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマンサックス入社。株式トレーダー、金利デリバティブトレーダーを経て、2010年に人工知能を用いた投資ファンドを設立。2014年にVISITS Technologiesを設立し、人の創造性を可視化する「デザイン思考テスト」を独自技術(日米で特許取得)により開発。また、企業向け意思決定DXツール「ideagram(VISITS Forms)」等、企業のイノベーション・DX支援サービスを幅広く展開。内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」委員、金融庁「金融審議会」委員等を歴任。スーツ・オブ・ザ・イヤー2019受賞。趣味はアームレスリング (元日本代表)。
第2章 始まりは「ニーズ」に
第3章 目指すは究極の「いいとこ取り」
第4章 「新たな価値」を創造する
第5章 人生に活きる「デザイン思考」
要約ダイジェスト
デザイン思考の「5ステップ」
デザイン思考とは市場分析や過去の事例分析ではなく「人の気持ちをデザインする思考法」だ。あるシーンにおいて人はどのような感情をもち、何を求めるのか、どんな体験に感動する(=心が動く)のかを徹底的に考察するアプローチである。このアプローチを採用すれば、たとえ現時点で市場が存在せずとも、新たな市場の創出をデザインできる。
日本ではアートとデザインが混同されがちだが、アートは何かしらのアウトプットで「自己表現」を行うことを目的とし、デザインは達成したい目的や創りたい世界観を実現するためにアウトプットを出す「問題解決」のための活動だ。
デザイン思考とは「創造的問題解決」であり、理想からの逆算思考で行うアプローチとも言える。「創造的」と付いているのは、まずは理想の状態をデザイン(創造)する必要があるからだ。
ではデザイン思考は具体的にどのようなステップで進めていけば良いのか。代表的なものに、スタンフォード大学の「d.school」が提唱する①共感、②問題定義、③創造、④プロトタイプ、⑤テスト、という5つのステップがある。
デザイン思考では、取り組むべき問題が最初から明確になっているわけではない。しかも、潜在課題であるため顧客自身も言語化できないケースがほとんどである。
そのため、顧客に問題を定義させるのではなく、想定顧客の行動を観察したり、インタビューを通じて顧客のインサイト(本音)を発見し、サービス開発者側で問題を定義する必要がある。その際に重要となるのが「共感」だ。「共感」は他者への「同情」ではなく他者の感情を深く理解して分かち合うことを指す。
問題定義を行った後は、実際に問題を解決するためのアイデアを考える必要がある。それが「創造」のステップだ。トレードオフの関係にあるニーズの実現や課題の解決は難解な問題だが、