- 本書の概要
- 著者プロフィール
そこで本書では、医学的エビデンスに基づき、睡眠のメカニズムから、睡眠によい習慣や食事、メンタルまで、質の高い睡眠のためのノウハウを多数解説。睡眠で大切なのは「量」より「質」であり、一度の睡眠で深睡眠といわれる状態まで複数回到達することではじめて、脳や心、身体の疲れをしっかり回復させられるのだという。
著者は公立総合病院睡眠センター長などを経て、2013年に「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を設立。これまで2万人の睡眠に悩む人を救ってきた睡眠専門医。より高いパフォーマンスを目指すビジネスパーソンはもちろん、寝つきの悪さや日中の眠気、慢性的な疲れなどに悩む方はぜひご一読いただきたい。
睡眠専門医。筑波大学卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士)。公立総合病院睡眠センター長などを経て、2013年に「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を設立。これまで2万人の睡眠に悩む人を救ってきた。自身がオンオフを切り替えるのが苦手だったという過去から、いかに睡眠が日中の活動に影響するかを実感し「睡眠投資」という考えを発信。マイクロソフト、PHILIPSなど世界的企業での講演や、東京オリンピックでは選手村で選手をサポートするなど、ビジネスやスポーツ界からの信頼も厚い。慶應義塾大学特任准教授、国立大学法人福井大学客員准教授、武蔵野学院大学客員教授、日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ、ハーバード大学公衆衛生大学院客員研究員などを兼歴任。『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』『いびきを自分で治す方法』(アスコム)など著作多数。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「めざましテレビ」(フジテレビ)などメディアにも広く出演している。
第1章 意外と知られていない「眠りの基本習慣」
第2章 あなたは普段どれだけぐっすり眠れている?
第3章 ぐっすり眠れる身体をつくる新習慣
第4章 ぐっすり眠れるメンタルをつくる新習慣
第5章 日中の眠気を上手にコントロールする方法
第6章 ちょっとした行動で眠りやすくなる「入眠の習慣」
要約ダイジェスト
そもそも、「ぐっすり眠る」とはどういうことか?
実は、ぐっすり眠るということを定義するのは簡単ではない。極論すると、日常を自分が望むパフォーマンスで駆け抜けられているとき、ぐっすり眠れている=きちんと充電できていると言えるだろう。
それを判断する指標に、「睡眠の質」がある。人は眠っているあいだ、レム睡眠とノンレム睡眠という2種類の状態を繰り返している。このうち、深い眠りであるノンレム睡眠には3段階あり、もっとも深い「深睡眠」と呼ばれる状態は、眠ってから4時間以内に現れることがほとんどだ。
この深睡眠がしっかりとれており(理想は、一晩で2回程度)、かつレム睡眠とノンレム睡眠のバランスがいいことを、この本では「ぐっすり眠る」と表現する。この状態をつくることができれば、脳と心が回復し、パフォーマンスが上がることが証明されている。
だが、いつでもぐっすり眠れるかというと、残念ながらそう簡単にはいかない。だからこそ、眠る前の準備が大切だ。飛行機が空の上で徐々に高度を落として着陸態勢を整えるように、適切な段階を経て眠りにつく必要があるのだ。それには、ぐっすり眠るのにいい行動を知り、習慣づけてしまうのが一番だ。
寝る前の「ぐっすりストレッチ」
ぐっすり眠るために、寝る直前の軽いストレッチをおすすめしたい。ストレッチには、動的ストレッチというラジオ体操のように反動をつけて筋肉を伸張するものと、静止した状態で筋肉を伸ばす静的ストレッチがある。
前者は交感神経を優位にし、後者は副交感神経が優位に働きやすくなり、リラックスした状態になるから、就寝前は静的ストレッチがおすすめだ。
全身の筋肉を伸ばす必要はなく、例えば、ふとんの上であおむけになり、深呼吸しながら足首をゆっくり手前に曲げて再び戻す動作を、1分ほど行うだけでも効果がある。呼吸は止めず、ゆっくり息を吐くことを意識することで、より副交感神経に働きかけることができ、熟睡効果が高まる。
この「ぐっすりストレッチ」に加え、日中の適度な運動もおすすめだ。ウォーキングのようなリズミカルな反復運動は、セロトニンの分泌をうながすことがわかっている。息が上がらず、