『日本はクール!?』
(ベンジャミン・ボアズ/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 近年、日本の魅力を国際社会に向けて発信する手法として、「クールジャパン」という標語とともに様々なプロジェクトが政府主導で行われている。だが、それらの施策の多くは、成果を上げているとは言い難い。その原因は著者によれば、海外には日本文化への確かな需要が存在するものの、魅力の伝え方に問題があるからだ。

 本書は、現在の政府主導の「クールジャパン」のあり方に疑問を投げかけ、浮世絵やアニメを例に、日本の魅力に対する考え方に一石を投じる一冊だ。国内で行われる施策のありがちな失敗事例を通して、国内と海外という2つの視点を分離させることの重要性を説き、真のクールジャパン現象で世界を巻き込む方法を提案する。

 著者は在日歴 15年以上で、2016年から内閣府公認のクールジャパン・アンバサダー(現プロデューサー)として、世界中の日本ファンをつなぐ活動をしている人物。海外向けビジネスやインバウンドビジネスに携わる方、日本文化や魅力の伝え方について学びたい方はぜひご一読いただきたい。

著者:ベンジャミン・ボアズ(Benjamin Boas)
 1983年アメリカ・ニューヨーク州生まれ。国際コミュニケーション・コンサルタント。パルテノンジャパン株式会社シニア・アドバイザー。東京都中野区観光大使。2016年より内閣府公認クールジャパン・アンバサダー、2022年10月よりクールジャパン・プロデューサーに就任。Netflix、Kickstarterなどでの仕事を手掛けるほか、NHKワールドでリポーターや、コロンビア大学、大阪大学をはじめとして国内外の大学でのクールジャパンに関する講演を多数行うなど幅広い活躍で注目を集めている。新聞や雑誌に日本語と英語で寄稿、スタジオジブリ月刊小冊子『熱風』への寄稿「クールジャパンはクールじゃない」が話題となった。著書に『日本のことは、マンガとゲームで学びました。』『大人のためのやり直し英会話』(いずれも小学館)がある。ブラウン大学卒。2007年フルブライト奨学生として京都大学大学院で、その後東京大学、慶応大学、大阪商業大学にて研究。
序 章 完璧を売り込む
第1章 日本ではなく「ジャパン」
第2章 マイ・ジャパンからユア・ジャパンに渡る
第3章 ビジネスにおけるクールジャパンの成功例
第4章 他人の興味を活かせばいい
第5章 クールジャパンってそもそも何?
第6章 クールジャパンの本当の姿
第7章 国や組織ができること
第8章 クールジャパン庁を設立せよ
終章 日本再発見

要約ダイジェスト

日本ではなく「ジャパン」

 クールジャパンは、日本経済の未来を担うはずだった。しかしそれが今、すべて消えてしまった。世界的なコロナウイルスの蔓延によって、インバウンドの数はほぼゼロになり、2020年のオリンピックは期待されていた反響を呼び起こすことができなかった。

 2000年前後、アニメやゲームなどの大衆文化が日本を文化大国へと押し上げたが、最近ではコンテンツ産業の中心が国外に移りつつある。アニメの制作が海外に委託され、Netflixのような外資系企業が日本のコンテンツ業界をコントロールしていく中で、かつて日本のクールの象徴だったものが、もはや日本にはない可能性さえ出てきているのだ。

 クールジャパンという言葉は 2000年ごろ生まれた新しい言葉だが、日本の魅力そのものはそれ以前から存在する。国際観光の歴史が始まって以来、日本の商品や観光地は、私のような外国人を惹きつけてきた。しかし残念なことに、日本は世界から日本に向けられているこの愛情をうまく活用することができていない。

 海外の人にとっての日本の「クール」は人や時代によって異なるだけでなく、実は、「ジャパン」という言葉もまた時代によって異なる。なぜなら海外の多くの人が「ジャパン」という場合、それは島国「日本」のことではないからだ。

 彼らが思い浮かべているのは、彼らの頭の中にある「ジャパン」のイメージである。日本のイメージを理解することと、日本の物理的な現実を理解することは同じではない。多様な視点は、ほとんどの場合日本の外にしか存在せず、日本の外でしか生まれない。

 つまり、海外の人が日本をどのように見ているかを理解するには、日本に行ったことがない人が日本をどのように考えているかを知る必要があるのだ。実態の日本とは異なるこの日本のイメージを評価し、理解することは、海外での「ジャパン」の需要を生み出すために非常に重要だ。

 クールジャパンを活用する目的のひとつは、日本についての知識を世界に広めることではなく、海外の人たちに、実際に日本に来て自分の目で見て、体験してもらうことだ。その意味で日本の団体は、

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