- 本書の概要
- 著者プロフィール
そこで本書では、トヨタ出身で現在は社会人教育のフィールドで活躍する著者が、トヨタで学んだ「考え抜く」技術を磨き上げ完成させた「紙1枚」で考え抜く技術を解説。トヨタ時代のエピソードに合わせて段階的にトヨタ式問題解決手法の真髄を学べる構成となっている。
著者は「1枚」ワークス株式会社代表取締役。トヨタ自動車入社後、海外営業事業部などで同社の「紙1枚」仕事術を習得、グロービスへの転職を経て独立し、現在までに研修・講演・スクールなどで累計1万人以上のビジネスパーソンを支援してきた人物。身に付ければ一生モノの深い思考力を手に入れたい方はぜひご一読いただきたい。
「1枚」ワークス株式会社代表取締役。「1枚」アカデミアプリンシパル。動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。作家・社会人教育のプロフェッショナル。名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。在学時はカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学留学。トヨタ自動車入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を修得・実践。米国勤務などを経験したのち、グロービスへの転職を経て、独立。現在は社会人教育のフィールドで、ビジネスパーソンの学習を支援。
研修・講演・独自開講のスクール等、累計受講者数は10000名以上。大企業・中小企業問わず、登壇実績多数。2017年には海外中国・広州登壇、2018年にはルーツであるトヨタとパナソニック合同の管理職研修への登壇も実現。
2015年からは、作家としてのキャリアもスタート。デビュー作『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』は年間ビジネス書ランキング4位、海外5カ国翻訳のベストセラー・ロングセラーに。これまでに7冊、文庫化も加えれば9冊を上梓し、著者累計は45万部超。独立当初から配信し続けているメールマガジンは通算1000号以上。読者数20000人超。
第1章 エピソード1:「TBP」
第2章 エピソード2:「問題解決」
第3章 エピソード3:「紙1枚」
第4章 エピソード4:「制約」
第5章 エピソード5:「標準化」
第6章 エピソード6:「知行合一」
第7章 エピソード7:「動作」
第8章 エピソード8:「考え抜く」
第9章 エピソード9:「やり抜く」
第10章 エピソード10:「横展」
epilogue エピソード11:「紙0枚」
要約ダイジェスト
「トヨタ・ビジネス・プラクティス」とは?
私がトヨタに入った当時は、まず4月に1カ月間、座学での集合研修があり、1カ月の大半は「Toyota Business Practice(以下、TBP)」に関する研修に時間が割かれていた。これは、トヨタにおける仕事の定義が次の8つの STEPで構成されたものだ。
STEP1:問題を明確に定義する
STEP2:問題を分析し、分解する
STEP3:改善の目標を設定する
STEP4:真因を分析する
STEP5:対策を立てる
STEP6:対策を実行し、最後まで見届ける
STEP7:結果とプロセスの両方をよく見る
STEP8:うまくいったプロセスを標準化する
この8 STEPは「問題解決手法」のことなので、TBP=トヨタにおける「仕事=働く」とは、「問題解決」を指す。「クリティカルシンキング」や「ビジネスプレゼンテーション」以上に、最重要なビジネススキルが「問題解決力」だ。仕事を継続する限り、ずっと磨き続けるべきビジネススキルのセンターピン。それが、「問題解決力」なのだ。
TBPは、有名な「PDCAサイクル」のフレームワークでいうと、STEP5までが「PLAN=計画=考え抜くフェーズ」となる。
STEP1:問題を明確に定義する
まずは、問題を見つけ、明確にするところからスタートだ。問題=「あるべき姿」と「現状」の「ギャップ」である。担当業務に関する「あるべき姿=理想の状態」を考え、「現状」と比較する。そこに何かしらの「ギャップ=差、乖離」が生じているのであれば、それが解決に向けて取り組むべき「問題」となる。
STEP2:問題を分析し、分解する
ここでは問題をさらに細かく分解=ブレイクダウンし、具体化する。まずは「時間・空間・人間」の3つの軸で分解してみると、少なくとも STEP1よりは「問題の所在」が具体的になるはずだ。
STEP3:改善の目標を設定する
問題「点」が定まったら、「何をもって解決とするか」の達成目標を決める。STEP2、ブレイクダウンの段階で問題の具体化ができているほど、STEP3で立てる目標も自然と明確なものに定まってくる。
STEP4:真因を分析する
達成目標が決まったら、いよいよ対策を立てて実行、ではない。今度は、問題が起きている原因について考えていく。真因とは、「原因の原因の原因の…」という掘り下げの先に待っている「根本原因」のことだ。STEP4に行き詰まったら、