『ザ・メタバース―世界を創り変えしもの』
(マシュー・ボール/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 2021年前後からにわかに「メタバース」という言葉が注目を集め、現在も世界的 IT企業の投資や新興企業の参入が相次いでいる。メタバースはバーチャル空間、仮想空間などと訳されることが多いが、実はいまだあいまいな概念でもある。本書は、メタバースを広めた第一人者が、その概念を包括的に解説したメタバース入門書の決定版だ。

 本書ではメタバースを定義し、その技術的基盤から可能性、社会やビジネスをいつ頃までにどう変化させていくかを、あくまで冷静かつわかりやすく分析していく。それらの予測を控えめに見ても、働き方、教育、娯楽、広告、産業などを一変させるほどの大きなインパクトがあるテクノロジーだと理解できるはずだ。

 著者は元アマゾンスタジオ戦略部門のグローバル統括責任者で、現在はエピリオン社 CEO。メタバースをテーマに書いたブログが大きな評判となり、テック界のトップもその見解を参考にしている。IT業界以外の方も、未来の社会や仕事、新規ビジネスのヒントを得たい方は業界を問わずぜひご一読いただきたい。

著者:マシュー・ボール(Mathew Ball)
 元アマゾンスタジオ戦略部門のグローバル統括責任者で、現在はエピリオン社CEO。ニューヨークタイムズ紙、エコノミスト誌、ブルームバーグ誌に寄稿もしている。メタバースをテーマに書いたブログが大きな評判となり、エピックゲームズのティム・スウィーニーやフェイスブック(メタ)のマーク・ザッカーバーグ、さらにはテンセント、コインベースなどテック界のトップにもよく引用されている。活動の拠点は、トロント、ニューヨーク、マイアミの3カ所である。

訳者:井口 耕二(Inokuchi Koji)
 東京大学工学部卒、米国オハイオ州立大学大学院修士課程修了。大手石油会社勤務を経て、1998年に技術・実務翻訳者として独立。主な訳書に『スティーブ・ジョブズ I・II』(講談社)、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』『ジェフ・ベゾス 発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか』(いずれも日経BP)、『PIXAR 〈ピクサー〉 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』(文響社)、『リーダーを目指す人の心得』(小社)などがある。著書に『実務翻訳を仕事にする』(宝島社新書)、共著に『できる翻訳者になるために プロフェッショナル4人が本気で教える 翻訳のレッスン』(講談社)がある。

はじめに
PartⅠ メタバースとは?
 01 未来を概観する
 02 混乱、不透明
 03 ひとつの定義(やっとかい)
 04 次なるインターネット
PartⅡ メタバースの創り方
 05 ネットワーク
 06 コンピューティング
 07 仮想世界のエンジン
 08 相互運用性
 09 ハードウェア
 10 ペイメントレール
 11 ブロックチェーン
PartⅢ メタバースですべてが変わる
 12 メタバース時代はいつ来るのか
 13 メタビジネス
 14 メタバースの勝ち組と負け組
 15 メタバースにおける存在の問題
結論 だれもが傍観者

要約ダイジェスト

2021年はメタバース一色

 2021年7月、フェイスブックの創業 CEO、マーク・ザッカーバーグは次のように語った。「当社はソーシャルメディア企業と見られているわけですが、これからはメタバース企業と見られるように変わっていくことになると考えています」。

 続けて、メタバースに特化した部門を作ること、また、オキュラス VRなどの未来型技術を開発している部門のトップを最高技術責任者に引き上げることも発表。10月には、メタ・プラットフォームズに社名を変えるとした。メタバース投資により 2021年の経常利益は100億ドル以上減るし、今後、この投資が減ることはないと語って株主を驚かせてもいる。

 このように、2021年は、右を向いても左を向いても「メタバース」一色となった。この流れは米証券取引委員会への報告書にもはっきりと現れている。「メタバース」という単語は、2020年 10月のロブロックス IPOまで5回しか登場しなかったのに、2021年には 260回以上と急増しているのだ。

 西側の国や企業以外もメタバースに注目している。2021年5月、インターネットゲームの巨人で中国最大の企業、テンセントも、「ハイパーデジタルリアリティ」という表現でメタバースに関するビジョンを打ち出した。

 ここまでメタバースがもてはやされるのは、今後、メタバースがコンピューティングとネットワークのプラットフォームになっていくとみんなが考えているからだ。ちょうど 1990年代のパーソナルコンピューターと有線インターネットの時代から、いまのモバイル・クラウドコンピューティングの時代に移ったように。

 このシフトにより、ビジネススクール用語でいまいちよくわからなかった「ディスラプション(創造的破壊)」なる言葉が一般にも理解されるようになったし、ほぼすべての業界が根本的に変わらざるをえなくなったし、社会や政治も大きく変わった。

 ただ、前回と今回ではタイミングが大きく異なる。モバイルやクラウドの重要性は理解している人が少なかったため、ディスラプションに対抗しようとしたりする人が多かった。対してメタバースでは、もっと早い段階から建設的な動きとなっている。

メタバースとは?

「メタバース」なる言葉は、ニール・スティーヴンスンが 1992年に発表した小説『スノウ・クラッシュ』に登場するものだ。その後、言葉は広く使われるようになったが、実は、この小説でもメタバースとは何であるのかはっきりと示されていない。

 現在、世の中ではいろいろ言われていて混乱の極みという感じだが、メタバースの歴史が始まったばかりと言えるいまの状況でも、包括的で有用な定義を明確にできると私は思っている。私が考えるメタバースとは、以下のとおりである。

「リアルタイムにレンダリングされた 3D仮想世界をいくつもつなぎ、相互に連携できるようにした大規模ネットワークで、永続的に同期体験ができるもの。ユーザー数は実質無制限であり、

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