『事業創造のロジック~ダントツのビジネスを発想する』
(根来龍之/著)

 

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次(主要)
ビジネスモデルを切り口に、ビジネスをゼロから創造し、発展させ続けるポイント(ロジック)を、数多くの事例から明らかにした、事業創造の教科書的一冊。著者は、現役の早稲田大学ビジネススクール教授、統括責任者を務め、ITや経営戦略に関する多くの著書を持つ根来龍之氏。

ビジネスモデル設計のための「出発点」「因果関係」「妥当性と正当性」「模倣困難性」「発展性」という構成で、ビジネスという「生き物」を創造するための設計図の描き方が順を追って解説されていきます。経営学の概論にとどまることなく、活きた事例と理論が示され、読者の思考を促すような内容が本書の特長です。自分なりの仮説を持って、新しいビジネスモデルを創造してもらうために本書は執筆されたといいます。

そのことを著者自身「経営学を学ぶことは、将棋や囲碁の定石を学ぶことに似ている」と表現しています。つまり、定石を知れば、知らない人よりは強くなれますが、本当に強い名人は、定石を超えて手を打つということ。しかもビジネスは、ゲームのルール自体を変えることができる戦いです。その意味でもビジネスモデルや経営学の初学者から、経営戦略実践の場にいる方まで、多くの気づきが得られる一冊となっています。


著者:根来龍之(ねごろ・たつゆき):
早稲田大学ビジネススクール教授、同スクールディレクター(統括責任者)、早稲田大学IT戦略研究所所長。京都大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。鉄鋼メーカー、英ハル大学客員研究員、文教大学などを経て、2001年から現職。経営情報学会会長、国際CIO学会副会長、CRM協議会副理事長などを歴任。主な著書に、『CIOのための情報・経営戦略』(編著,中央経済社)、『代替品の戦略』(東洋経済新報社)などがある。
出版:日経BP社

第1部 出発点
第2部 因果関係
第3部 妥当性と正当性
第4部 模倣困難性
第5部 発展性

要約ダイジェスト

ビジネスモデルとは何か

ビジネスモデルの定義は人によって違うが、著者はビジネスモデル=経営者の頭の中にある「事業の構造に関する意図」をまとめた設計図、と定義する。

一般には、「儲ける仕組み」などと説明されることが多いが、収入を得るという「意図」を実現するためには、収入面だけでなく事業構造の全体を考えなければならない。

ビジネスモデル設計の出発点として、著者が提唱しているのが「戦略モデル」である。これはビジネスモデルを設計するときに、顧客をど真ん中に置く、つまり最初に買い手を決めるというものだ。

顧客が誰かによって、顧客が求める価値は違う。だからまずはターゲット顧客を決める。そしてジョブ(ターゲット顧客が抱えている重要なニーズや解決すべき問題)を定義するのである。

マーケティングに関する本などでは、まず「市場」や「業界」を分析しなさいと言っている場合があるが、

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