- 本書の概要
- 著者プロフィール
そこで本書では、整形外科医の著者が自身のクリニック経営を通じて学んだ、スタッフが自ら考え、動き、成長する「自律成長型組織」をつくるための原理原則やリーダーとしてのマインドセットを解説。「マネジメントをしない」と決めた経緯や、その後の具体的取り組み、組織の変化などを失敗も含めて率直に語っている。
著者は福住整形外科クリニック院長。札幌医科大学附属病院勤務医などを経て 2018年に整形外科クリニックを開業し、スタッフへの権限委譲を促進して自律型組織を構築、その経験を生かして整体院の経営も行う。自身のマネジメントや組織づくりに課題を感じている方、中小規模組織のリーダー・経営層の方などはぜひご一読いただきたい。
福住整形外科クリニック 院長。2000年に札幌医科大学卒業後、同大学附属病院で臨床研修医として勤務。2002年、札幌医科大学大学院医科学研究科に進学。細胞生理学を研究し2006年に医学博士号を取得。その後、同大学附属病院で整形外科医として勤務、道内各地の病院で診療に当たる。2012年、苑田会 人工関節センター病院で人工膝関節置換術を学ぶ。その後、五輪橋整形外科病院 副院長を経て、2018年、「ほっと笑顔で安心できるクリニック」を目指し福住整形外科クリニックを開院。スタッフへの権限委譲を促進し、自ら考え目標を持って行動する自律成長型組織を構築し、院内スタッフ、そこに通う患者の双方の満足感が高いクリニック経営を実現。自らの組織づくりの経験を活かし、整形外科の他に整体院も経営するなど、今後もさらなる分院を計画している。
第1章 社員一人ひとりが考え、学び、成長する組織
第2章 リーダーのパラダイムがすべての源泉
第3章 主体的に変わるマインドセット
第4章 自立する組織で人も会社も成長する
第5章 マネジメントしないマネジメントで自律成長型組織をつくる
おわりに 仕事を「人ごと」から「自分ごと」へ変えたなら
要約ダイジェスト
社員一人ひとりが考え、学び、成長する組織の原則
私のクリニック経営は最初から苦労の連続だった。クリニックとして売上は増えているのに、働いている人は少しも充実しないばかりか、不満と不安を募らせていた。そこで同じ開業医の小暮裕之さんが開設した医療経営大学という講座を受講した。
まず教えられたのはリーダー自身の変革だ。経営者は会社がうまくいかないとなると、どうしても周りを変えようとしてしまう。何か手を下すことがマネジメントだと思ってしまうのだ。
だが、他人を変えるのではなく、リーダー自身が変わることから出発することが重要だ。この原理原則を重視して経営していくと、スタッフが自立・自律しながら成長する組織ができ上がっていった。私がたどり着いた原理原則は次の5つだ。
原則①「自分が変わることでしか相手は変えられない」
会社の経営状態が悪くなると、多くの経営者は自分よりも外の世界にその原因を見出そうとしてしまう。自分がかたくなであれば相手もそうなり、柔軟であれば相手もそうなる。
まず会社の不調の原因は自分にあるとリーダーが自覚し、自分を変えることでしか会社は変革できないのだ。自分が変われば、自分の他人に対する態度が変わり、それに応じて他人の自分への対応が変わってくる。
原則②「人を理解してはじめて人から理解される」
現場の社員は問題に直面したとき、「この難局をどうにか切り抜けなければ」と必死になる。しかし、経営者は山頂から「これぐらいの課題は社員の成長のために必要。どう解決するか楽しみだ」と思って見ている。経営者と社員ではそれほど見ている視点が違う。
人は生まれ持った性格や育ってきた環境によって培われた、自分なりのメガネを通して世界を見ている。相手がどんなレンズを通して世界を見ているのかを理解すること。それが他者理解の本質である。