『「捨てる」思考法―結果を出す 81の教え』
(出口治明/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 モノや情報があふれる現代社会では、「捨てる」ことのニーズが高まっている。「捨てるもの」の中には、物理的なモノだけでなく、時間や習慣、思考の癖、執着なども含まれるが、わかっていてもなかなかそれらを捨てられない人は多い。また、二者択一の場面でどちらかを捨てなければならないという決断に迫られることもあるはずだ。

 本書は、「捨てることは未来への投資」と掲げ、あらゆるものを「捨てる」「手放す」効果とその技術を解説する。捨てるものとして挙げられるのは、「手帳」や「時計」をはじめ、「会議」「忖度」「バイアス」「羞恥心」「計画通りの人生」など幅広く、著者自身の実際のエピソードとともに語られていることで、よりイメージがつきやすいはずだ。

 著者はライフネット生命創業者で、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)学長を務めながら歴史への造詣を生かして多数の書籍を執筆する出口治明氏。手放す習慣を身に付けたい方、本当に必要なものを見極められる取捨選択力を高めたい方、人生の岐路において退路を断つ覚悟がほしい方などにはぜひご一読いただきたい。

著者:出口治明(Deguchi Haruaki)
 立命館アジア太平洋大学(APU)学長。1948年、三重県美杉村生まれ。京都大学法学部を卒業後、1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命保険株式会社に社名を変更。2012年、上場。社長、会長を10年務めた後、2018年より現職。訪れた世界の都市は1200以上、読んだ本は1万冊超。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。
 おもな著書に『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『仕事に効く教養としての「世界史」I・II』(祥伝社)、『全世界史(上)(下)』『「働き方」の教科書』(以上、新潮社)、『人生を面白くする 本物の教養』『自分の頭で考える日本の論点』 (以上、幻冬舎新書)、『教養は児童書で学べ』(光文社新書)、『座右の書「貞観政要」 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』『「教える」ということ 日本を救う、[尖った人]を増やすには』(以上、KADOKAWA)、『別冊NHK100分de名著 読書の学校 出口治明 特別授業「西遊記」』(NHK出版)、『世界史・10の「都市」の物語』(PHP文庫) 、『人類5000年史I・II・III・IV』(ちくま新書)、『世界史の10人』『0から学ぶ「日本史」講義 古代篇、中世篇、戦国・江戸篇』(文藝春秋)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方』 (講談社現代新書)など多数。
はじめに 「得る」ために「捨てる」、そこに気づけば簡単だ
第1章 「捨てられない」は思い込み、捨てることが未来をつくる
第2章 出口式・捨てる技術【基礎編】余計なものを手放す習慣を身につける
第3章 出口式・捨てる技術【応用編】余計なものを手放して、本当に必要なものを見極める
第4章 捨てるモチベーションは、退路を断つことから生まれる
おわりに 無駄を「捨てる」ことは、未来への投資である

要約ダイジェスト

人間は毎日トレードオフに直面している

 世の中で起こることのすべては、トレードオフの関係にある。何かを得ようとすれば、何かを捨てなくてはならない。人生もビジネスにおいても同じことだ。何か1つを得ようとするとき、人は必ず何か1つを失うのだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちはいまだかつて経験したことのないトレードオフに直面した。ステイホームだ。新型コロナウイルスの感染拡大から身を守るためには、ステイホームするという以外の解はなかった。

 ステイホームでは、それまで当たり前だった多くの行動を捨てなければならない。飲み会を捨てる、本屋に行くのを捨てる、映画館に行くのを捨てる、人に会うのを捨てる。当然、うまく捨てることのできる人が、ステイホームしやすいことになる。

「ご飯を食べられて、寝ることができれば大丈夫」と考えられる人は、ステイホームは苦にならない。僕自身、苦痛は感じなかった。考えても仕方のないことを考え続けるのは、無駄というものだ。

APUが「卒業式中止」をいち早く決断できた理由

 新型コロナウイルス感染症が国内で拡大しつつあった 2020年2月、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長として、目前に迫った卒業式、入学式をどうすべきか、僕は決断を迫られていた。「どちらも中止」と決めたのは2月 20日。その時点では、国内の他大学では判断を保留しており、APUが最も早かった。

 メリットとデメリットが明確な問題なら意思決定は簡単だが、今回のように前例や正解のないなかでは、それぞれの決定がもたらすリスクを天秤にかけるしかない。そんな状況で意思決定するポイントは3点。歴史に学ぶこと、専門家の意見を聞くこと、リーダーとして腹を括ることである。

 まず、次のように考えた。ヨーロッパで約 2500万人が亡くなったとされるペスト(黒死病)は 1347年から 1351年にかけて猛威を振るい、1918年から流行したスペイン風邪は収束まで3年かかったと言われている。とすれば、今回の新型コロナウイルスが1カ月で収束する可能性は限りなく低いだろう。

 次に、専門家の意見を聞くことにした。APUの校医に尋ねると、「開催のリスクは高いと思う」との意見だった。後は、

続きを読むには会員登録が必要です。

© 2022 ZENBOOKS,Inc. All Rights Reserved.
要約記事は出版社または著作者から適法に許諾を取得し、作成・掲載しています。本記事の知的所有権は株式会社ゼンブックスに帰属し、本記事を無断で複製、配布、譲渡することは固く禁じます

特集