『こうして社員は、やる気を失っていく』
(松岡保昌/著)

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 働き方改革やリモートワークなど、近年ビジネスパーソンの働く環境は大きく変化した。そうした中でも変わらない組織課題として、社員のモチベーションの問題がある。多くの企業では従業員満足度調査やエンゲージメント・サーベイなどで、モチベーションを測定し、それをいかに高めていくかを考えている。

 だが著者によれば、社員のモチベーションを上げたいと思うなら、実はモチベーションを下げる要因を取り除くほうが近道だ。特に最近の若手は、やる気をそぐようなことをしなければ自然と前向きに仕事に取り組む傾向が強いという。そこで本書では、疲弊する組織や離職率の高い会社のケースを取り上げ、そのリアルな改善策を解説する。

 著者はリクルート、ファーストリテイリング、ソフトバンクなどで要職を歴任後、株式会社モチベーションジャパンを創業、現在代表取締役社長。人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタントとしても活躍。経営層、人事担当者はもちろん、チームの活性化を目指すマネジャー層もぜひご一読いただきたい。

著者:松岡保昌(Matsuoka Yasumasa)
 株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。1963年生まれ。1986年同志社大学経済学部卒業後、リクルートに入社。『就職ジャーナル』『Works』の編集や組織人事コンサルタントとして活躍後、2000年にファーストリテイリングにて、執行役員人事総務部長として当時の急成長を人事戦略面から支える。その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として逆風下での広報・宣伝の在り方を見直し新たな企業ブランドづくりに取り組む。2004年にソフトバンクに移り、ブランド戦略室長として CIを実施。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役として球団の立ち上げを行う。また、AFPBB News編集長として、インターネットでの新しいニュースコミュニティサイトを立ち上げる。現在は、経営、人事、マーケティングのコンサルティング企業である株式会社モチベーションジャパンを創業。筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達専攻カウンセリングコース主催「キャリア・プロフェッショナル養成講座」修了。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、個人のキャリア支援やキャリアコンサルタントの指導育成、企業内キャリアコンサルティングの普及にも力を入れている。
第1章 企業力格差は「モチベーション」に起因する
第2章 「社員がやる気を失っていく上司」に共通する 10の問題と改善策
第3章 「組織が疲弊していく会社」に共通する 15の問題と改善策
第4章 こうして社員が変わり、会社も変わっていく

要約ダイジェスト

「やる気」は個人の問題ではなく、職場の問題

 時代の流れに変化適応し続ける「強い会社」とそうでない会社、その差は、もちろん経営者の判断力などによるところも大きいが、あからさまな判断ミスをしているわけではないのに、徐々に「企業力」に格差が広がる場合がある。

 その「企業力」格差の原因は、社員の「モチベーション」の差にある場合が多い。外部環境の変化の芽を、現場の社員がキャッチする感度、それを上に伝える主体性、新しいニーズをつかむために新しいことに挑むチャレンジ精神。どれをとっても「やる気」のない社員の集合体では、実現できないからだ。「企業力」格差の原因は、結局「モチベーション」の差にいきつくのだ。

 誰もが、新入社員初日は、緊張しながらもこれからの社会人生活や仕事に対する期待を胸に出社したはずだ。しかしそれも月日が流れるなかで薄れていき、気づけば月曜日の朝に「これから1週間がまたはじまる…」と憂鬱な気分になる。

「やる気」が出ないのは、個人の努力が足りないからだと考える人も多いかもしれない。しかし実際は、上司や周囲との関わりや、会社の制度・処遇などの影響によって「やる気が下がってしまう」ケースも少なくない。

 期待を胸に参加した新人歓迎会で、「なんで、うちなんか選んだの?」と聞かれた言葉が、心のどこかにひっかかってしまった。頑張って営業成績を上げたのに、成績が振るわなかった同期と評価も待遇もほとんど変わらず、なんだか「やる気」がなくなった。このように、人が「やる気」を失っていく場面は、実は日常のあちこちに転がっている。

「その程度のことでやる気を失うなんて、覚悟が甘いからだ」と、簡単に切り捨てることはできない。周囲との関係のなかで下がった「やる気」は、その職場全体の課題であり、そこを解決しないかぎり、「やる気」が下がる社員が出続ける可能性が高いからだ。

モチベーションを高めるためにすべきは、まず「下げる要因」を取り除くこと

 生産性の高い仕事をするうえでは、社員の「やる気」が重要なことは誰の目にも明らかだ。そのため、いかにして社員の「やる気」を高めるか、モチベーションを上げるための研究や施策は数多くの本でも語られている。

 しかし、その前に重要なのは、まずモチベーションを下げないこと。極端に言うと、下げる要因を取り除いていけば、勝手に「やる気」は上がっていく。社員のモチベーションを高める必要があるのは、単に生産性を高め、利益を上げるためだけではない。その会社の働き方は、ひいては企業文化へとつながるからだ。

 企業文化には、大きく2つの力がある。1つは、違うタイプの人をも、同じような考え、行動に染めてしまう力。もう1つは、磁石のように、似たタイプの人々を引き寄せる力である。

 モチベーションの高い集団は、難易度の高いことにも前向きに取り組もうとする「やる気に満ちた人」たちを引きつける。一方、モチベーションの低い集団は、「やる気に満ちた人」を排除する。それは、「やる気に満ちた人」と比較されると困るからだ。

 このような会社では、「やる気に満ちた人」は疎まれ、居づらくなり、しばらくすると辞めてしまうか、他の大勢の社員と同じようなカラーに染まってしまう。この繰り返しで、いつしか、会社にいる人たちは、主体性とはほど遠い受け身の集団になってしまうのだ。

 このように、モチベーションの高い会社と低い会社では、それぞれ同じようなタイプの人が集うことにより、「やる気のある集団」と「やる気のない集団」の二極化が進む。

 一度負のスパイラルに陥った会社は、抜け出すのは容易ではない。まずモチベーションをいかに下げないか。それができたらプラスのスパイラルに向かうために、どうすればモチベーションが上がるのか。そのような取り組みが、

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