『限りある時間の使い方』
(オリバー・バークマン/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 タイムマネジメントに関する本は数多く出版されている。その中で指南されているのは、ほとんどが「効率性」を高め、時間内でより多くの物事をこなすというアプローチだ。だがそこには大きな欠陥があるという。それは、人生が短い、つまり「時間が限られている」という事実を無視し、目の前のタスクをこなす方法ばかり教えているからだ。

 そのため、どんなに生産性が向上しても、さらに新しいタスクや仕事で時間が埋め尽くされてしまう。平均寿命が 80歳だとして、持ち時間は約 4000週間しかない。本書ではまず、この冷徹な事実を直視することを出発点とし、時間や人生、忙しさや時間管理の本質への考察を深めていく。読み進めるうちに、時間に対する価値観が一変するはずだ。

 著者は、英全国紙ガーディアンの記者として、外国人記者クラブ(FPA)の若手ジャーナリスト賞などを受賞した気鋭のライターで、同紙で心理学に関する人気コラムを毎週執筆する人物。時間管理や多忙に悩む方だけではなく、真の意味で有意義な人生を送りたいと願う方はぜひご一読いただきたい。

著者:オリバー・バークマン(Oliver Burkeman)
 イギリスの全国紙ガーディアンの記者として、外国人記者クラブ(FPA)の若手ジャーナリスト賞などを受賞した気鋭のライター。著書『解毒剤 ポジティブ思考を妄信するあなたの「脳」へ』が世界各国で話題を呼んだ。ガーディアン紙で心理学に関する人気コラムを毎週執筆中。ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルといったアメリカの有名紙、雑誌サイコロジーズやニュー・フィロソファーにも記事を寄せている。ニューヨーク在住。
訳者:高橋 璃子(Takahashi Rico)
 翻訳家。京都大学卒業、ラインワール応用科学大学修士課程修了。訳書に『エッセンシャル思考』『エフォートレス思考』『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門』(小社刊)、『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新社)、『ブロックチェーン・レボリューション』(ダイヤモンド社)などがある。
・PART1 現実を直視する
第1章 なぜ、いつも時間に追われるのか
第2章 効率化ツールが逆効果になる理由
第3章 「時間がある」という前提を疑う
第4章 可能性を狭めると、自由になれる
第5章 注意力を自分の手に取り戻す
第6章 本当の敵は自分の内側にいる
・PART 2 幻想を手放す
第7章 時間と戦っても勝ち目はない
第8章 人生には「今」しか存在しない
第9章 失われた余暇を取り戻す
第10章 忙しさへの依存を手放す
第11章 留まることで見えてくるもの
第12章 時間をシェアすると豊かになれる
第13章 ちっぽけな自分を受け入れる
第14章 暗闇のなかで一歩を踏みだす
エピローグ 僕たちに希望は必要ない
付録 有限性を受け入れるための10のツール

要約ダイジェスト

長い目で見れば、僕たちはみんな死んでいる

 人の平均寿命は短い。ものすごく短い。80歳くらいまで生きるとして、たった 4000週間だ。そんなふうに考えてみれば、古代ギリシャから現代に至るまで、多くの哲学者が人生の短さを延々と論じてきたのもうなずける話だ。

 4000週間という数字を最初に計算したとき、僕はあまりの短さに目の前が暗くなった。それから気を取り直して、友達みんなに聞いてまわった。「人は平均で何週間生きると思う?」ある人は数十万と答えたので、僕は彼女にそっと教えた。

 メソポタミアのシュメール文明から現在まで、人類の文明全体の時間をあわせても、31万週間にしかならないんだよと。「我々はみんなもうすぐ死ぬ」と言った現代の哲学者トマス・ネーゲルは正しい。だとすると、人生とは時間の使い方そのものだといってもいい。

 ところが現代の、いわゆるタイムマネジメントは、あまりにも偏狭すぎて役に立たない。タイムマネジメントの指南書が教えることといえば、いかに少ない時間で大量のタスクをこなすかだったり、日曜日に1週間分の食事をまとめてつくろうということだったりする。

 日々の雑務を効率化するための「ライフハック」を紹介するウェブサイトもうんざりするほどある。ところが皮肉なことに、それに成功したところで、ストレスは減らない。以前よりもっと忙しく、もっと不安で、もっと空虚な気分になるだけだ。

 タイムマネジメントやライフハックの技術は、大事な真実を見落としている。「時間を思い通りにコントロールしようとすればするほど、時間のコントロールが利かなくなる」という真実だ。

 こうして問題の核心に近づいていくと、さらに深いところに、なんとも言いがたい感覚が居座っていることに気づく。どんなに大量の仕事をこなしても、どんなに成功しても、自分は本当にやるべきことをやっていないのではないか、という感覚だ。生産性を高めようとするたびに、

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