『テクノロジーが予測する未来―web3、メタバース、NFTで世界はこうなる』(伊藤穰一/著)

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 現在、日本を含む世界で「web3」「メタバース」「NFT」という新たなテクノロジーが注目を集めている。黎明期である 1980年代からインターネットに携わってきた著者によれば、これらはただのバズワードではなく、インターネットの登場のような、歴史的な転換点になる可能性を秘めているという。

 そこで本書では、ITの歴史的変遷を追いながら、最先端テクノロジーが導く未来社会の姿を解説。その範囲はビジネスのみならず「働き方」「文化」「アイデンティティ」「教育」「民主主義」などに及び、楽観的予測だけでなく、リスクやデメリットも示している。一読すれば、より俯瞰的かつ正確に今後の社会変化を理解することができるはずだ。

 著者はマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長、金融庁参与などを歴任し、現在はデジタルガレージ 取締役 共同創業者 チーフアーキテクト、千葉工業大学 変革センター長。ポジティブな未来社会づくりや新規ビジネスのヒントを得たい方は業界を問わずぜひご一読いただきたい。

著者:伊藤 穰一(Ito Joichi)
 デジタルガレージ 取締役 共同創業者 チーフアーキテクト。千葉工業大学 変革センター長。デジタルアーキテクト、ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。民主主義とガバナンス、気候変動、学問と科学のシステムの再設計など様々な課題解決に向けて活動中。
 2011年から2019年までは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務め、2015年のデジタル通貨イニシアチブ(DCI)の設立を主導。また、非営利団体クリエイティブ・コモンズの取締役会長兼最高経営責任者も務めた。ニューヨーク・タイムズ社、ソニー株式会社、Mozilla財団、OSI(The Open Source Initiative)、ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)、電子プライバシー情報センター(EPIC)などの取締役を歴任。2016年から2019年までは、金融庁参与を務める。
 これまでの活動が評価され、オックスフォード・インターネット・インスティテュートより生涯業績賞、EPICから生涯業績賞を始めとする、様々な賞を受賞。「Earthshot 世界を変えるテクノロジー」の番組共同MCを務め、ポッドキャスト「JOI ITO 変革への道」では定期的にNFTに関する話題を取り上げている他、web3コミュニティの試験的な開発に取り組んでいる。
序 章 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる
第1章 働き方 仕事は、「組織型」から「プロジェクト型」に変わる
第2章 文化 人々の「情熱」が資産になる
第3章 アイデンティティ 僕たちは、複数の「自己」を使いこなし、生きていく
第4章 教育 社会は、学歴至上主義から脱却する
第5章 民主主義 新たな直接民主制が実現する
第7章 すべてが激変する未来に、日本はどう備えるべきか

要約ダイジェスト

世界は、新しいルールで動きはじめた

 最近、「web3」「メタバース」「NFT」という言葉を耳にする機会が増えた。一部のテクノロジー好きの人たちの間で盛り上がっているだけで、自分には関係のない話だと思っている人も多いかもしれないが、インターネットも最初はそうだった。

 インターネットが誕生して、約半世紀。世の中に普及して20年余り。ほとんどの人にとって「インターネットなしの生活」はもはや、考えられない。web3、メタバース、NFTも、そうなっていく可能性が高いのだ。

「働き方」「文化」「アイデンティティ」「教育」「民主主義」…、大変化の波は、あらゆる領域に及び、誰も逃れることはできない。そこでまずは足がかりとして、web3、メタバース、NFTによっていま、生まれつつあるメガトレンドに触れておこう。

web3

 web3には多くの要素があるが、特に注目したいのは、ブロックチェーンという新しい技術の登場によって、インターネットが進化する間に忘れ去られていた「非中央集権的」という方向性をふたたび目指すことになった点だ。

 ウェブの黎明期には、みずから情報を発信しようとした世界の人々は、自分の手で WWWサーバーを立ち上げ、情報発信を行った。そこに中心はなく、分散的なサーバーが世界中に点在していた。

 そこから大企業や大組織も参入し、各国政府もホームページを立ち上げていった。最初は個人がまるで「放送局」をつくるような感覚だったのだが、だんだんとすでに用意されている情報を閲覧することが主になっていった。これが Web 1.0だ。

 Web 2.0は、ふたたび個人が情報発信できるようにしようとした試みといえる。ブログなどがはじまり、集合知が注目され、ウィキペディアの登場もこの頃だ。また、SNSも流行した。

 だが、参加する人が増えるにしたがい、次第に、これらの場を提供している企業(プラットフォーム)の力が大きくなっていく。気がつくと、ウェブは数少ないプラットフォーム企業を中心に展開する中央集権的な構造になってきた。

 そして生まれたのが、web3のムーブメントだ。web3を支えるブロックチェーンという仕組みによって、さまざまな非中央集権的な試みが行われている。例えば「DAO(ダオ:Decentralized Autonomous Organization=分散型自律組織)」だ。

 この形態の組織では、「経営者→従業員」といった上意下達ではなく、何事もメンバー全員参加のもとで直接民主主義的に決められる。この新しい組織形態はガバナンス、仕事、働き方のかたちを根底から変える可能性があるものだ。

メタバース

 メタバースの定義は広いが、そこで生まれるメガトレンドは、やはりバーチャルリアリティ(VR)だ。「VRのなかで人と交流したりアクションを起こしたりする」というアイデア自体は、それほど新しいものではないが、

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