『プロ投資家の先の先を読む思考法』
(藤野英人/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 未来を先読みすることができれば、ビジネスでも投資でも成功確率を大幅にアップさせることができるはずだ。ではどうすれば未来を予測できるのか。カリスマファンドマネジャーとして活躍してきた著者は、大切なのは、目の前で少しずつ起きている小さな変化を捉え、その結果、10年後、20年後の未来はどうなるのか?を考えることだと説く。

 本書では、著者が実践してきた「今」を知り、そこから思考を広げて「先の先」を読む技法を解き明かし、そのために役立つ習慣や「材料」の集め方までを具体的に解説。さらに、これからの社会を洞察するうえで重要となる「ウェルビーイング」の考え方など、ビジネスだけでなく、一個人の人生設計にも役立つ内容となっている。

 著者は国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークスを創業。現在、同社代表取締役会長兼社長、ひふみシリーズ最高投資責任者を務める人物。資産運用や投資に興味関心がある方だけでなく、新規ビジネスやサービスづくりに携わる方もぜひご一読いただきたい。

著者:藤野英人(Fujino Hideto)
 投資家・ひふみシリーズ最高投資責任者。レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長。1966年富山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークスを創業。JPXアカデミーフェロー、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授。一般社団法人投資信託協会理事。
 主な著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)。
はじめに “先の先”を読むことができれば、かなりの成功が約束される
第1章 「先の先」を読むために「今」を知る
第2章 「思考」を広げて先の先を読む
第3章 先の先を読むための「材料」の集め方
第4章 今この時代に「伸びる会社」の共通点
第5章 先の先に見えてきた「未来のかたち」
第6章 先を読むことと同じぐらい大切なこと
おわりに 自分が関与することで変わるかもしれない未来

要約ダイジェスト

先読みとは小さな変化を捉えること

 簡単ではないとはいえ、未来を予測することはできる。大切なのは、「見えない未来」を見ようとするのではなく、目の前で少しずつ起きている小さな変化を捉えること。そして、「この小さな変化の結果、10年後、20年後の未来はどうなるのか?」を考えることだ。

「先の先を読む」ことには、投資で勝つことだけでなく、重要な意味がある。それは、「自分の居場所」を間違えずにすむことだ。日本には、経営者から現場までが昭和の価値観で生きている「昭和97年型」の会社が、まだ数多く存在する。

 その一方、新しい価値観や最先端の技術を前提とした「令和4年型」の会社もたくさん登場している。冷静に「先の先」を読めば、昭和97年型と令和4年型の会社が混在する状況の中で自分がなにを選ぶべきか、おのずと見えてくるはずだ。

 プロの投資家の立場から、株価の「先読み」について言えば、短期的な株価の動きを正確に予測するのはとても難しいと言える。日々の株価は、政治家の発言や自然災害などの外部要因によって大きく動く。

 同様に、3カ月後、半年後の株価というのもほとんど予測がつかない。しかし2年後、3年後の株価となると、話は変わってくる。ぼんやりとではあるが、長期であれば株価がどれくらいになるのか予測できるのだ。

 株価というのは、短期的には外部要因や人気などに左右されるものの、中長期で見ればEPS(1株あたり利益)にほとんど連動する。

 つまり、株価は半年くらいのスパンで見れば、「たまたま3割上がる」ことも「なぜか半値になる」こともありえるが、2、3 年経てば、利益が2倍になった会社の株価はおおむね2倍になり、利益が3分の1になった会社の株価はおおむね3分の1になる。

 これは、有名な会社であろうが、無名な会社であろうが関係ない。株式市場というのは、冷徹なまでに企業業績にコミットしているのだ。株式投資において「長期で投資することが大事」と言われるのは、

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