『シンプリスト生活』
(Tommy/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
「ミニマリスト」という言葉が浸透し、今やひとつのライフスタイルとして受け入れられている。だが、「ミニマリスト=モノが少ない」という図式が独り歩きし、本質を見失ったままモノを減らして逆にストレスを溜めてしまう人もいる。一方、本書が提唱する「シンプリスト」という生き方もある。

 シンプリスト生活とは、モノの量や数にはこだわらず、自分が好きで本当に大切なものを見極め、整理された暮らしをすること。本書では、シンプリストである著者が、身軽でありながら、豊かに暮らす方法を解説。「モノを減らし整理する」だけではなく、「家事」や「仕事」などもシンプル化する考え方とノウハウが余す所なく紹介されている。

 著者は会社員として働きながら、「より小さく、より豊かに暮らす」をテーマに YouTubeチャンネル「Tokyo Simple Life」で情報発信を行い、2年で登録者数 20万人を超える人気 YouTuberとなった人物。モノが手放せない方はもちろん、シンプルだが豊かな生き方を追求したい方はぜひご一読いただきたい。

著者:Tommy(トミー)
 Tomohiro Taguchi/デザイナー/1982年生まれ。富山県出身。大阪大学大学院工学研究科修了。デザインとエンジニアリングを学ぶ。メーカーにて、新規商品の企画から、プロダクトデザイン、プロモーション映像の制作、ディレクションに従事。YouTubeチャンネル「Tokyo Simple Life」にて、「より小さく、より豊かに暮らす」をテーマに情報発信をスタートし、2年で登録者数 20万人を超える人気チャンネルに。自身のブランドにて、家具のデザイン・設計・販売も行っている。
はじめに 世界で一番快適な場所
第1章 モノと生活をシンプルにつなぐ
第2章 モノを手放す、片づけの実践
第3章 家事をシンプルにする小さな習慣
第4章 自由にシンプルに働く
第5章 インテリアを小さく楽しむ
おわりに ワーク・ライフ・ハーモニーの途中で

要約ダイジェスト

身軽に軽やかに生きる

 私の家には、テレビがない。ソファもない。炊飯器もなければ掃除機もない。一方で、椅子が5脚、照明器具は4台あり、ミニマリストというにはモノが多い。モノの持ち方に偏りがあり、人によっては暮らしにくいと感じるかもしれない。だが私にはとても居心地がよい。なぜなら、自分の「好き」に特化した住まいだからだ。

 この偏愛を大切にし、それ以外のなくても困らないモノゴトは潔く手放し、身軽になる暮らし方、生き方こそが、情報に溢れ複雑になった今の社会を、ふわりと軽やかに渡り歩くための最も簡単な手段なのではと考えている。

「自分軸での取捨選択」は、働き方、さらには人生そのものについても有効だ。好きになれない家事は最小限に簡素化し、必要以上のつき合いの飲み会も減らし、仕事も「やりたくない」は減らす努力をして、浮いた時間や労力を「やりたい」に集中してきた。その結果、毎日気持ちよく暮らせるようになったし、これまでの人生の中で今が一番楽しい。

「ミニマリスト」は、2015年「新語・流行語大賞」にもノミネートされ、一般的に広く知れ渡ったが、現在「ミニマリスト=モノが少ない」という分かりやすい結果だけが独り歩きしてしまい、「必要や便利を切り詰めてでも、モノを減らす」姿勢を感じる。

 一方、似たような言葉である「シンプリスト」は、自分にとってのモノゴトの優先順位を整理し、自分に正直でいることを重視して行動する人だ。例えば、見栄のために身の丈以上に背伸びしたり、人からの評価を気にするより、自分の価値観で判断することができるし、自分らしくない選択肢はうまく手放せる。

 本当に大切なモノであれば、増やすことを恐れてはいけない。「モノより体験」と言われるが、「モノこそ体験」と考えることがある。家具にせよ台所道具にせよ、「よいモノ」を使うと、時間の質は何倍にもなる。例えば、一杯の味噌汁と白米とちょっとした副菜だけでも、器によってごちそうに変わる。

 ここで言う「よいモノ」は人によって異なる。有名人が「よい」と言ったからといって、自分に合うとは限らない。だから人の価値観に振り回されず、自分の感性を信じる覚悟を持つしかない。何が「よいモノ」かは自分だけが知っているのだ。

 適切と感じる物量は人それぞれだ。持ち物は、極端に多すぎても、

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