『シェール革命 – 繁栄する企業、消える産業』
(財部誠一著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 テレビ朝日系「報道ステーション」「サンデープロジェクト」などの番組でもおなじみのジャーナリスト財部誠一氏が、米国で進行する「シェールガス革命」についてわかりやすく説いた一冊。 世界各地に眠る、膨大な量のシェールガス・オイル。その存在は以前から知られていたが、技術的に採掘は不可能であるとされてきた。

 しかし、1998年に米国の事業家ジョージ・ミッチェル氏がシェールガスの開発に成功。米国は既存のインフラを最大限に活用した自己完結型の新しいモデルを通じて、これまでと異なる存在感を見せ始めている。著者は、この米国におけるエネルギー革命=シェール革命による世界のパワーバランスの劇的な変化を予測し、現在も水面下で着実に進行していると説く。

 本書ではシェール革命が世界各国に与える変化と今後の展望を、多くの実証データや図解でわかりやすく解説。著者自身が米国で取材を行い、ジャーナリストならではの観点から鋭く分析がされている。日本を含む世界経済全体に大きなインパクトを与えるシェール革命について、俯瞰的に理解することができる好著である。


著者:財部誠一(タカラベ セイイチ)
 1956年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、野村證券に入社。同社退社後、3年間の出版社勤務を経てフリーランスジャーナリスト。1995年経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」を設立。金融経済誌等に幅広く寄稿するとともに、テレビ朝日「報道ステーション」、テレビ東京「未来世紀ジパング」などTVやラジオでも広く活躍。『ローソンの告白』(PHP研究所)、『メイド・イン・ジャパン消滅!』(朝日新聞出版)など著書多数。
Chapter 1 21世紀は「米国の世紀」になる
Chapter 2 シェール革命は日本にどんな恩恵をもたらすのか?
Chapter 3 世界のエネルギー供給構造が激変
Chapter 4 シェール革命から何を学ぶか?

要約ダイジェスト

21世紀は「米国の世紀」になる

 21世紀は「米国の世紀」と呼ばれる時代になるかもしれない。これまでは、21世紀は「新興国の世紀」だと多くの人が思い込んできた。事実、リーマン・ショック以降の世界経済を牽引したのは中国、インドをはじめとする新興国であった。

 しかし、米国のシェールガス・オイル開発による革命は、米国という国のあり方まで変えようとしている。金融資本主義を背景に石油と軍事で世界に君臨してきた米国が、今、新たな産業基盤を創出する「資本主義」へと変わりつつあるのだ。

 資源を輸出して外貨を稼ぐだけのモデルではなく、国内で新たな産業基盤創出につながっているという点こそが、シェール革命の「革命」たるゆえんである。現在、米国では先端技術のネットワークがシェールガスの掘削現場を支えており、採り出した膨大な量のガスは、全米中に張り巡らされたパイプラインを通って供給されていく。

 安い天然ガスを使った火力発電が増えた結果、電力料金も安くなった米国では、海外に出ていた製造業の国内回帰現象が起きている。 天然ガスをふんだんに手に入れた米国には、世界最大のエネルギー輸入国から脱却し、エネルギーを自給自足できる夢のような状況が目前に迫っているのだ。

 さらに米国は、アジアのガス需要に対する主要供給基地の一つになるとも考えているという。日本が現在、カタールなどから輸入しているLNGは100万BTU当たり16~17ドルだが、米国のシェールガスを輸入した場合は10~12ドル程度と予想されている。

 LNGとの価格差は大きく、米国の天然ガスは長期間にわたって価格競争力を維持していくに違いない。米国のシェール革命は、世界のエネルギー供給構造と、その地政学的なパワーバランスに変化を起こしつつあるのだ。

米国がシェール革命で世界を圧倒した理由

 シェールガス・オイルの生産量の99.9%は北米に集中している。現状ではシェールの生産は北米、特に米国が圧倒的に進んでいるといってよいだろう。 なぜ、米国がシェール開発でこれほどまでに世界をリードできたのか。その理由は主に6つ挙げられる。

続きを読むには会員登録が必要です。

© 2017 ZENBOOKS,Inc. All Rights Reserved.
要約記事は出版社または著作者から適法に許諾を取得し、作成・掲載しています。本記事の知的所有権は株式会社ゼンブックスに帰属し、本記事を無断で複製、配布、譲渡することは固く禁じます

特集