『DX CX SX』
(八子知礼/著)

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 今後 20年、日本が人口減少の一途をたどることはほぼ確実だ。それによって引き起こされる様々な問題に立ち向かうために、日本社会と日本企業にとって、大きな変革が急務となっている。その手段として DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれているが、本格的に取り組む企業が増えた一方で失敗事例も多く耳にする。

 そこで本書では、DXの重要性や概論にとどまらず、100件以上の DXプロジェクトで実績を出してきたアプローチを豊富な事例とともに解説。現場のノウハウをデジタルに落とし込み、一部門だけでなく、全社=コーポレート・トランスフォーメーション(CX)、社会=ソーシャル・トランスフォーメーション(SX)につなげていく道筋を示している。

 著者は通信/メディア/ハイテク業界中心のビジネスコンサルタントとして新規事業戦略立案、バリューチェーン再編等を多数経験し、DX推進を支援する INDUSTRIAL-Xの代表取締役。企業規模を問わず、DXに本腰を入れたい企業経営者や担当者、DX支援に携わる方はぜひご一読いただきたい。

著者:八子 知礼(Yako Tomonori)
 1997年松下電工(現パナソニック)入社、宅内組み込み型の情報配線事業の商品企画開発に従事。その後、介護系新規ビジネス(現パナソニックエイジフリー)に社内移籍、製造業の上流から下流までを一通り経験。
 その後、後にベリングポイントとなるアーサーアンダーセンにシニアコンサルタントとして入社。2007年デロイトトーマツ コンサルティングに入社後、2010年に執行役員パートナーに就任、2014年シスコシステムズに移籍、ビジネスコンサルティング部門のシニアパートナーとして同部門の立ち上げに貢献。一貫して通信/メディア/ハイテク業界中心のビジネスコンサルタントとして新規事業戦略立案、バリューチェーン再編等を多数経験。2016年4月よりウフルIoTイノベーションセンター所長として様々なエコシステム形成に貢献。
 2019年4月にINDUSTRIAL-Xを起業、代表取締役に就任。2020年10月より広島大学AI・データイノベーション教育研究センターの特任教授就任。
著書に『図解クラウド早わかり』、『モバイルクラウド』(以上、中経出版)、『IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書』(監修・共著、SBクリエイティブ)、『現場の活用事例でわかる IoTシステム開発テクニック』(監修・共著、日経BP社)がある。
第1章 爆発的な成長を生み出す革命的なビジネスと DXの本質
第2章 今後 20年のトレンドを読む上での大前提
第3章 「魔のデッドロック」を乗り越える DXアプローチ
第4章 「境目」を「データ」でつないで「全体最適」を実現する方法
第5章 DXの影の王「データ」が切り拓く新しいビジネスの世界
第6章 業界を問わないデジタルな新規事業の事例
第7章 DXから CX、そしてSXへ

要約ダイジェスト

DX推進のキーフレーズ「デジタルツイン」

 DXという言葉を目にする機会が増えたが、オフィスから紙や押印を廃止するソリューションを導入する、あるいは iPadなどのデバイスを導入したことで「弊社は DXを推進しています」というのは勘違いだ。

 DXの本質は、企業やビジネスを様々な外圧や変化に耐えられるように柔軟に変化できる姿に「トランスフォーム」(変革、変容)することであり、「デジタル」はその手段に過ぎない。デジタル技術を活用してビジネスモデルや商材、業務プロセス、企業カルチャー、そして企業のあり方そのものを変えることが DXである。

 今後、DXをさらに深く理解するために知っておくべき考え方が「デジタルツイン」だ。「ビジネスの現場など、現実空間の様々な事象、状態、環境をデータで捉え、デジタル空間上に、同一条件の環境を構築する」ことである。

 例えば、デジタル空間上に、実際の製造現場の環境をデータで捉えた「仮想の製造現場」が存在すると、トラブルへの対応、新たな取り組み、業務プロセス変更、緊急時の対策など、現実空間にあっては試行や予測、検証が難しいことでも、データ分析によりシミュレーションが可能になる。

 検証したデジタル空間でのシミュレーション結果の中から、最も適切だと予測できる結果を現実の製造現場にフィードバックし、実際の業務に生かすことができれば、DXを推進するための強力な武器となる。

 企業がダイナミック・ケイパビリティ(環境や状況が激しく変化する中で、企業がその変化に対応して自己変革する能力)のような組織力を備えるためには、経営者の属人的な能力に頼るのではなく、デジタルツインを実現して「予測できる経営」「ビジネスのあり方を組み替え可能な経営」を目指すべきなのだ。

 例えば従来の農業は、生産者の勘と経験に頼る領域が多くを占めていた。しかし、IoT技術を導入し、作物の生育状況、気象条件、

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